2003 Fiscal Year Annual Research Report
肺組織浸潤T細胞を用いた膠原病性間質性肺炎の分子病理学的解析
Project/Area Number |
14570561
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Research Institution | Dokkyo University School of Medicine |
Principal Investigator |
武田 昭 獨協医科大学, 医学部, 講師 (90155002)
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Keywords | 膠原病 / 間質性肺炎 / T細胞 |
Research Abstract |
膠原病性間質性肺炎は、しばしば患者の生命予後を大きく左右する合併症であるにもかかわらず、その病因の詳細は不明である。なかでも特に多発性筋炎・皮膚筋炎に認められる間質性肺炎は、進行性あるいは致死性の合併症として臨床上とりわけ重要であり、今回の研究では、この病態を中心に据えて分子免疫学的方法を動員し解明を進めた。研究対象は、病理診断の目的で十分なインフォームド・コンセントのもとに行なった胸腔鏡下肺生検で採取された患者10例の肺組織である。各肺組織においては、その病理組織型の種類にかかわらず、単核球の集簇がめだち、そのほとんどがCD3T細胞でありB細胞や単球の浸潤はわずかであった。また浸潤T細胞の多くはCD4でCD8より優位であった。肺組織浸潤T細胞のT細胞受容体(TCR)のrepertoire解析(肺組織から抽出したRNAを用いadaptor-ligation-PCR法を使用した定量的ELISAにより解析)は、TCR可変領域のα鎖β鎖の使用頻度に関して興味深い結果を示し、肺では末梢とは異なった限られたrepertoireの特異的な頻用が認められた。一方、肺組織より検体採取後直ちに分離した多数のT細胞クローンの性状の検討を、細胞内cytokine染色法ならびにFACS解析を用いて行ない、これらクローンが圧倒的にTh1の性質を有すること、ならびにproinflammatory cytokineを放出することを見いだした。今回の研究結果は、本疾患における間質性肺炎の病態形成には、T細胞とりわけantigen-driven mechanismにより局所に動員された選択的T細胞がその中心的役割を担っており、病変局所に集簇したT細胞はTh1への免疫偏向によって向炎症性サイトカインを介した機序により肺組織の改変に寄与していることを強く示唆している。この知見は、本病態の理解に有用であるのみならず、その制御に係わる重要な鍵を提示している
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Arakawa, H., et al.: "NSIP associated with PM and DM."Chest. 123. 1096-1103 (2003)
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[Publications] 武田 昭: "T細胞レセプター可変領域の解析・膠原病性間質性肺炎"分子呼吸器病. 7. 147-153 (2003)