2003 Fiscal Year Annual Research Report
心筋炎、拡張型心筋症の遺伝子発現とplasmidを用いた遺伝子治療の基礎的検討
Project/Area Number |
14570645
|
Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
塙 晴雄 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (40282983)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 公則 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (00303165)
小玉 誠 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (10242447)
|
Keywords | 心筋炎 / 拡張型心筋症 / 遺伝子発現 / アンジオテンシン / サイトカイン / 遺伝子治療 / プラスミド |
Research Abstract |
1、自己免疫性心筋炎の経過における心臓局所の遺伝子発現の検討 実験的自己免疫性心筋炎モデルを用いて、現在、心疾患に有効と考えられている薬剤、あるいは作用機序として効果が期待できる薬剤を、急性期の心筋炎に相当する時期、あるいは慢性期の拡張型心筋症に類似する時期に投与し、'その効果を検討した。その際、心臓の局所の遺伝子発現を調べ、どの遺伝子発現が変化し、有効となったのか、その機序についても検討した。レニン-アンジオテンシン系を抑制する薬剤は、最も頻用されている心臓病の治療薬である。ACE阻害剤、ARBについて、慢性期の自己免疫性心筋炎モデルで検討したところ、いずれも心体重比などでは効果が見られたが、ACE阻害剤の方がより著明に心臓のリモデリングを抑え、効果が明らかであった。両者の単独投与群および併用群の中では、高濃度のACE阻害剤を用いたときに、明らかな血行動態の改善がみられた。局所の遺伝子発現では、ANPが抑制されており、心不全時に見られる心筋ミオシンのアイソフォームの変化も軽減していた。また、FR167653はTNF-alphaを抑制する薬剤であるが心筋炎の治療薬として確立はしていない。そこで、急性期の自己免疫性心筋炎モデルに投与したところ、心体重比や血行動態に有意な有効性がみられた。その時の心臓局所での遺伝子発現では、IL-1-betaの有意な発現の低下が見られ、このような要因が、有効性につながったものと考えられた。成長因子の抑制薬であり、まだその機序が明らかにはされていないスラミンについても検討し、急性期の自己免疫性心筋炎モデルに投与したところ、その効果がみられた。その時、心臓局所では、TGF-betaの遺伝子発現低下、Th1/Th2サイトカインの割合の変化がみられており、これらが、有効性につながった一つの機序ではないかと疑われた。 2、Plasmidを用いた遺伝子導入法の検討 Plasmidを用いた、遺伝子治療は、副作用や簡便性の点で優れているが、有効性については発現効率の面で不十分と考えられていた。しかし、Hydrodynamics-based gene delivery法の出現で、十分な血中濃度を保つことができるようになってきた。自己免疫性モデルである腎炎モデルで、vIL-10の遺伝子治療をHydrodynamics-based plasmid gene delivery法で検討したところ、有効性が見られ、局所では、INF-gamma, TNF-alpha, MCP-1の発現が低下していた。また、遺伝子治療による、蛋白の血中濃度測定は困難であったが、グルカゴンタグを用いることで容易にできることを明らかにした。
|
-
[Publications] Hanawa, H.: "A Novel Method to Assay Proteins in Blood Plasma after Intravenous Injection of plasmid DNA"Tohoku J Exp Med. 202(in press). (2004)
-
[Publications] Kodama, M.: "Effects of humoral factors on left ventricular remodeling under chronic heart failure"Nippon Yakurigaku Zasshi. 123. 63-70 (2004)
-
[Publications] Tachikawa, H.: "Angiotensin II type 1 receptor blocker, valsartan, prevented cardiac fibrosis in rat cardiomyopathy after autoimmune myocarditis"J Cardiovasc Pharmacol. 41. S105-S110 (2003)
-
[Publications] Kashimura, T.: "Effects of imidapril and TA-606 on rat dilated cardiomyopathy after myocarditis"Jpn Heart J. 44. 735-744 (2003)
-
[Publications] Maruyama, S.: "FR167653 suppresses the progression of experimental autoimmune myocarditis"Mol Cell Biochem. 246. 39-44 (2003)
-
[Publications] Higuchi, N.: "Hydrodynamics-based delivery of the viral interleukin-10 gene suppresses experimental crescentic glomerulonephritis in Wistar-Kyoto rats"Gene Ther. 10. 1297-1310 (2003)