2002 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞(胚性幹細胞)より分化誘導した心筋細胞のイオンチャネルと超微形態の特徴
Project/Area Number |
14570650
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
土屋 邦彦 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30313878)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 知之 岐阜大学, 医学部, 助手 (20332687)
小戝 健一郎 岐阜大学, 医学部, 助教授 (90258418)
藤原 久義 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80115930)
|
Keywords | ES細胞 / イオンチャネル / パッチクランプ法 / ATP感受性Kチャネル / L型Caチャネル / 超微形態 |
Research Abstract |
平成14年度 (1)心筋イオンチャネルの検討 (方法)マウスのES細胞において細胞分化を誘導して最終的にbeating能力を有する心筋細胞へ分化させる。これらの心筋細胞に解糖系代謝阻害薬およびミトコンドリア酸化還元酵素阻害薬による二重の代謝抑制を行い、膜接着型パッチクランプ法を用いて心筋細胞膜ATP感受性Kチャネルを活性化し、その発現の程度や電流量を記録する。また同時にKチャネル開口薬および遮断薬に対する反応様式を検討する。 (結果)ES細胞から得られた心筋細胞においては二重の代謝抑制を加えても、ATP感受性Kチャネルの活性化がかなり困難であり、細胞がshrinkageする頃に初めて活性化することが多く、電流電圧曲線からはK電流であることが確認できたが、Glibenclamideによって抑制不能であった。パッチ膜の大きさは5〜10MΩでパッチ膜抵抗は5〜10GΩであったがES細胞ではこの範囲に存在するATP感受性Kチャネルの数は最大でも2個であった。また数少ない細胞形態が保たれている状態で活性化されたATP感受性Kチャネルは成人細胞と同じく10nMのGlibenclamideにて完全に抑制された。Kチャネル開口薬に対する反応ではES細胞も成人細胞と同等にpinacidilで活性化された。以上からES細胞から分化誘導された心筋細胞は成人細胞に比べて虚血に強い可能性が示唆される。 (2)超微形態の検討 (方法)ES細胞から分化した心筋細胞をグルタールアルデヒドおよびネスミウムよる電顕固定後に透過型および走査型電顕にてその超微形態やmyofibril, sarcomerなどを観察し、その形態とATP感受性Kチャネルの発現や分布との関連性につき検討する。 (結果)ES細胞から得られた心筋細胞においてはmyofibril, sarcomereが成人細胞に比して疎であることが多く、これは今のところATP感受性Kチャネルの数自体が少ないという上記結果と一致している。
|