2002 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス感受性転写因子の動脈硬化進展における役割の解明と遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
14570673
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
市来 俊弘 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (80311843)
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Keywords | 活性酸素 / 転写因子 / mitogen activated protein kinase / 上皮細胞成長因子受容体 / transactivation / cAMP response element binding protein |
Research Abstract |
本研究では血管壁細胞において活性酸素によって活性化される(レドックス感受性)転写因子を同定し、その機能を解析することを目的とする。 平滑筋細胞を過酸化水素(H2O2)で刺激したところ、先に我々がアンジオテンシンによって活性化されることを見い出した、cAMP response element binding protein (CREB)が活性化された。この活性化は刺激後約15分をピークに一過性に生じ、1〜100μMの範囲で濃度依存性に生じた。H2O2によるCREBの活性化はExtracellular signal regulated protein kinaseの阻害剤およびp38 Mitogen-Activated Protein Kinase (MAPK)の阻害剤により抑制できた。また上皮成長因子受容体の阻害剤によっても抑制されたので、H2O2によるCREBの活性化には上皮細胞成長因子受容体のtransactivationが重要な役割を果たすことが示唆された。実際H2O2は上皮細胞成長因子受容体のチロシンリン酸化を誘導した。H2O2はc-fos mRNAの発現を誘導したが、これは優勢抑制型のCREBの過剰発現によって抑制された。またアンジオテンシンによるCREBの活性化が抗酸化剤であるN-acetylcysteineにより抑制されたことから、アンジオテンシンのシグナル伝達経路において活性酸素が重要な役割を果たすことが示唆された。一連の結果よりCREBはレドックス感受性の転写因子であり、平滑筋細胞の遺伝子発現に重要な役割を担うことが示唆された。
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Research Products
(1 results)