2003 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量G蛋白Cdc42と食塩耐性遺伝子STPの血圧調節及び虚血に対する影響
Project/Area Number |
14570705
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
辻 恵美子 福岡大学, 医学部, 講師 (10248495)
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Keywords | 食塩感受性 / 高血圧 / 分子生物学 / 低分子量G蛋白 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
高血圧症は罹患人口の最も多い疾患であるが、その発症メカニズムにはいまだ不明なところが多い。近年、低分子量GTP結合蛋白質Rhoが血管平滑筋収縮機構、細胞増殖作用などを介して、循環器疾患(高血圧、狭心症、心筋梗塞など)の病態に深く関与していることが示唆されている。我々が分離・同定した食塩耐性遺伝子STPは、低分子量G蛋白Cdc42の結合蛋白CIP4と同一であり、腎臓の近位尿細管に局在し、ナトリウム再吸収に関連した因子と考えられる。Cdc42は細胞骨格形成、細胞接着を制御することにより細胞の電解質輸送、脂質代謝を制御すると考えられ、本研究では、STPと細胞骨格形成、Na-輸送との関連性を検討した。 (1)STP野生型、変異型黄色蛍光タンパク質発現系の確立 我々は、ヒト腎臓cDNAライブラリーより、STPのスプライシング バリアントを分離同定し、その機能解析を行ってきた。STPの野生型、変異型遺伝子を、黄色蛍光タンパク質発現ベクターpEYFP-C1にクローニングし、COS-1細胞に発現する系を確立した。野生型では細胞質に、変異型では核近傍に発現を認める。 (2)STP及びCdc42発現とアクチン等細胞骨格形成蛋白発現について 上記の遺伝子を発現した細胞において、アクチン、Cdc42、NHE1タンパクの発現の変化について検討した。これらの結果については、現在、論文投稿中である。 (3)細胞内Na濃度測定系の確立 細胞内Na濃度を測定するために、fluorecent indicatorであるSodium Green, Corona Redを用いた測定系を確立するために検討を行っている。野生型、変異型遺伝子を恒常的に発現している細胞を作成し、培養液のNaCl濃度を変化させ、細胞内のNa濃度をflow cytometryあるいはレーザー顕微鏡を用いて検討しているが、現在の所、有意な差異は認めていない。
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