2002 Fiscal Year Annual Research Report
心臓リモデリングにおけるCNPの意義解明と新しい心臓線維化治療への応用
Project/Area Number |
14570710
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
岸本 一郎 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 室長 (80312221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 佳宏 京都大学, 医学研究科, 助手 (70291424)
齋藤 能彦 奈良県立医科大学, 第1内科学教室, 教授 (30250260)
寒川 賢治 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 部長 (00112417)
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Keywords | C型ナトリウム利尿ペプチド / グアニル酸シクラーゼ型受容体 / 心筋梗塞 / 心臓リモデリング |
Research Abstract |
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)と脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は、強力な水・ナトリウム利尿、血管拡張作用、及びレニン・アルドステロン分泌抑制作用を有する心臓ホルモンである。ANP、BNPなどの循環調節ホルモンは心臓・血管など循環器系のホメオスターシス維持に重要な役割を担っており、種々の循環器疾患ではこの調節系の破綻が認められ最終的に心不全にいたる。第3のナトリウム利尿ペプチドであるC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)は、共同研究者である寒川らが発見した生理活生ペプチドであり、新たな循環調節系としての機能が示唆されているが、その生体における意義は未だ明らかでない。 そこで本研究では、心疾患におけるCNPとその受容体の情報伝達系の(1)発現・分泌調節と(2)投与効果を明らかにすることにより、この内因性ペプチドの疾患における病態生理的意義の解明と循環器病治療薬としての有用性確立を図り、臨床応用へ繋げることを目的とするものである。 この一年間で以下の成果に到達した。 (1)CNPとその受容体であるGC-B mRNA濃度定量のためNorthern Blot法と定量PCR法を確立した。(2)CNPとGC-B mRNA発現の組織における局在を高感度に検出できる系をIn situ hybridization法を用いて開発した。(3)GC-B蛋白の局在を検討するために特異的抗体を用いた免疫組織染色法を確立した。(4)上記(1)〜(3)の各検討に供するため、麻酔下に開胸したラットの左冠動脈前下行枝を結紮し心筋梗塞モデルを作製した。(5)浸透圧ミニポンプを用いて心筋梗塞ラットにCNPを持続投与することに成功した。(6)また、心臓機能や線維化を定量するための高周波プローブを用いた心臓エコー法や線維化特殊染色法も確立している。 今後これらの系を用いてCNPとその受容体の心筋梗塞における病態生理的意義を明らかにし、さらにCNPの治療的意義に関して研究を進める予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Li Y et al.: "Guanylyl cyclase-A inhibits angiotensin II type 1A receptor-mediated cardiac remodeling, an endogenous protective mechanism in the heart"Circulation. 106(13). 1772-1778 (2002)
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[Publications] Ogawa E et al.: "Fibronectin signaling stimulates BNP gene transcription by inhibiting neuron-restrictive silencer element-dependent repression"Cardiovasc Res.. 53(2). 451-459 (2002)