2003 Fiscal Year Annual Research Report
ドミナントネガテイブ効果を用いたファンコニ・ビッケル症候群モデルマウスの作成
Project/Area Number |
14570716
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大浦 敏博 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10176828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉 繁夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10205221)
根東 義明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00221250)
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Keywords | ファンコニ・ビッケル症候群 / GLUT2(Facililative glucose transporter 2) / ドミナントネガティブ効果 / トランスジェニックマウス / Cre-loxPシステム / 腎性糖尿 |
Research Abstract |
【研究背景】Fanconi-Bickel症候群(以下FBS)は発育遅延、肝腫大、近位尿細管障害(糖尿、汎アミノ酸尿)、空腹時低血糖、食後高血糖を呈する常染色体劣性疾患である。1997年本症の責任遺伝子が促進拡散型グルコーストランスポーターの一つであるGLUT2遺伝子であることが明かとなった。GLUT2遺伝子のノックアウトマウスは著明な尿糖、中程度の高血糖、耐糖能の異常、インスリン分泌低下を示し、生後2〜3週で死亡する。我々は本症3家系の解析を行ない4つのGLUT2の変異(IVS2-2A>G、Q287X、V423E,L389L)を同定した。この内V423E変異をヘテロに持つ保因者において腎性糖尿を認め、この変異がドミナントネガティブ効果を持つ可能性を考えた。【目的】ドミナントネガティブ効果が予想されるV423Eを持つ変異GLUT2遺伝子をマウスに導入し、過剰発現させることによりFBSモデルマウスを作成し(機能的ノックアウト)、解析する。【方法】変異GLUT2遺伝子を発現したマウスがGLUT2ノックアウトマウスの様に致死的な性質を持った場合でも再現可能な様にCre-loxP systemを利用した。CAG promoter、loxP、DsRed、IRES、EGFP配列を含んだベクター(CDRE)に人変異GLUT2を挿入、マウス受精卵に顕微注入し、偽妊娠雌マウスの卵管内に移植した。【結果】32匹のトランスジェニックマウスが誕生した。その内8匹が目的の遺伝子(CDRE-GLUT2)を持つマウスであった。全8系統すべてをCreマウスと交配したところ、4系統においてDouble Positivc(発現マウス)が得られた。全てについて血糖、尿糖のスクリーニングを行なったが空腹時、随時血糖は発現のないlittermateと差がなく、尿糖も認めなかった。次に、7〜11週のマウスを用いて18時間の絶食後体重1gあたり1gのグルコースを10%溶液として腹腔内に投与し、15、30、60、90、120分後の尿糖、血糖をチェックしたが発現の有無による差は認められなかった。【考察】作成したトランスジェニックマウスではV423Eを持つ変異GLUT2遺伝子の過剰発現による空腹時尿糖の出現や耐糖能の異常は確認出来なかった。V423E変異のドミナントネガテイブ効果は今回の実験では証明出来なかった。
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