2003 Fiscal Year Annual Research Report
サリドマイド/バルプロ酸ナトリウム投与ラットを用いた自閉症の病態の解明
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14570720
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
成田 奈緒子 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (40306189)
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Keywords | 自閉症 / サリドマイド / バルプロ酸ナトリウム / 行動実験 / セロトニン / 縫線核 / モノアミン / 非探索的行動 |
Research Abstract |
本年度は、オープンフィールドテスト、及び社会相互作用テストを用いた自閉症モデルラットの行動解析を重点的に行った。その結果、以下のことを解明した。 1.オープンフィールドテスト 本モデルラットにおける行動量や新規の場所での行動パターンを正常ラットと比較して検索するため、正常コントロール群、サリドマイド(THAL)投与群、及びバルプロ酸ナトリウム(VPA)投与群それぞれ7-8匹を用いてオープンフィールドテストを行った。90cm四方の試行箱内での行動を3日間連続、20分間ずつ観察しその行動量を総移動距離で測定し、比較したところ、初日の試行においては、THAL群、VPA群共に行動量が正常群に比較して有意に増加していたが、連続した3試行により、その差は消失した。また、7日間のインターバルをおいたあとの第4試行では、THAL群で再び行動量が増加しており、自閉症モデルラット群は、新規の環境において、行動量が増加することが明らかになった。 2.社会相互作用テスト 本テストは、自閉症の主症候である社会性の欠如の有無をラットで再現する目的で行った。THAL, VPA、正常群のそれぞれ同群二匹ずつ、各7-8ペアを50センチ四方のアクリル箱に入れ、10分間に出現する社会行動(sniffing, climbing over, crawling under, genital investigation etc.)の出現時間を測定した。その結果、VPA群では、総社会相互作用出現「時間が正常より有意に低下していた。 これらの行動実験の結果より、本モデルラットにおいては、不慣れな場所でのパニックや社会性の欠如などのヒト自閉症にも共通する行動学的異常がみられることがわかり、大変興味深い。今後個体数をさらに増やして追試を行うと共に、この行動異常の生化学的な根拠の解明を行いたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Miyazaki K, Narita N, Sakuta R, Miyahara T, Naruse H, Okado N, Narita M.: "Serum neurotrophin concentrations in autism and mental retardation ; a pilot study"Brain and Development. (in press). (2004)
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[Publications] Narita N, Kato M, Tazoe M, Miyazai K, Narita M, Okado N.: "Increased monoamine concentration in the brain and the blood of fetal thalidomide and valproic acid exposed rat ; putative animal models for autism"Pediatric Research. 52(4). 576-579 (2002)
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[Publications] Yajima A, Ikeda M, Miyazaki K, Maeshima T, Narita N, Narita M: "Manserin, a novel peptide from secretogranin II in the neuroendocrine system"Neuroreport. (in press). (2004)
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[Publications] 成田正明, 成田奈緒子: "発達障害のモデル動物研究の研究と現状"精神保健研究. (印刷中). (2004)
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[Publications] 成田正明, 成田奈緒子: "サリドマイドと自閉症モデル動物"Clinical Neuroscience. 21(10). 1208 (2003)
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[Publications] Narita M, Nishigami N, Narita N, Yamaguti K, Okado N, Kuratsune H, Watanabe Y: "Association between Serotonin Transporter Gene Polymorphism and Chronic Fatigue Syndrome"Biochemical and Biophysical Research Communications. 311. 264-266 (2003)