2002 Fiscal Year Annual Research Report
タンデム質量分析法新生児マススクリーニング対象疾患の診断精度と医学管理の研究
Project/Area Number |
14570731
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
重松 陽介 福井医科大学, 医学部, 教授 (80162593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 郁江 福井医科大学, 医学部付属病院, 助手 (50251997)
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Keywords | タンデム質量分析 / 新生児マススクリーニング / 先天代謝異常症 / カルニチン / 乳幼児突然死 / 有機酸 / 脂肪酸酸化 / アミノ酸 |
Research Abstract |
平成14年度のパイロットスタディの規模は、福井県・広島県・徳島県・大阪市・関連医療機関に12月より宮城県も加わったことで、平成15年3月現在の月間スクリーニング新生児数は約3,500となり、総スクリーニング新生児数も約17万に達した。 診断精度に関しては、21例(本年度は8例)の患者が発見された。内訳は、有機酸代謝異常症10例、アミノ酸代謝異常症7例(4例、2例を含む)、また我が国では稀であると考えられてきた脂肪酸酸化異常症も4例発見されたが、脂肪酸酸化異常症の軽症例では、再検査時に診断指標アシルカルニチンの異常の程度が小さくなるなど、診断上注意が必要と考えられた。 有機酸代謝異常症のうち、プロピオン酸血症のスクリーニングは既に報告している指標の有用性が確認された。軽症メチルマロン酸尿症のスクリーニングについては他の研究との調整が必要と考えられた。グルタル酸尿症2例は暫定カットオフ値でスクリーニングできた。 アミノ酸代謝異常症では、フェニルケトン尿症も精度よくスクリーニングされ、現行スクリーニングのアミノ酸分析を本法で置き換えることができることを示した。シトリン欠損症については新生児期に必ずしも指標物質が増加しておらず、今後検討が必要と考えられた。 メチルマロン酸尿症などの新生児期発症重症例は、スクリーニング後の医療介入によっても、その予後を改善するのは困難であったが、このスクリーニングで発見されたグルタル酸尿症I型やプロピオン酸血症のように、新生児期発症しない症例は食事療法やカルニチン投与の治療効果がモニターされており、第1例プロピオン酸血症患児(4歳10ヶ月)も順調な成長発達が得られている。更に多数例での効果判定を踏まえ本スクリーニングの有用性を実証していく予定である。
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[Publications] Shigematsu Y, Hirano S, Hata I, et al.: "Newborn mass screening and selective screening using electrospray tandem mass spectrometry in Japan"J Chroinatogr B. 776. 39-48 (2002)
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[Publications] Yorifuji T, Kawai M, Muroi J, Mamada M, Kurokawa K, Shigematsu Y, et al.: "Unexpectedly high prevalence of the mild form of propionic acidemia in Japan : presence of a common mutation and possible clinical implications"Hum Genet. 111(2). 161-165 (2002)
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[Publications] Shigematsu Y, Hirano S, Hata I, et al.: "Selective screening for fatty acid oxidation disorders by tandem mass spectrometry : difficulties in practical discrimination"J Chromatogr B. (in press). (2003)