2004 Fiscal Year Annual Research Report
同種骨髄移稙後HHV-6感染によるacute GVHD様疾患の発症機構解析
Project/Area Number |
14570740
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
吉川 哲史 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (80288472)
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Keywords | 造血幹細胞移植 / HHV-6 / サイトカイン |
Research Abstract |
同種骨髄移植患児におけるHHV-6感染に伴うacute GVHD様疾患の発症機構解明を目指し、前年度までにリアルタイムPCR法による末梢血単核球中の炎症性サイトカイン遺伝子発現の定量的解析方法を確立した。その後、末梢血単核球、血清が充分採取保存されている重症型薬疹(drug induced hypersensitivity syndrome)の患者で、ま、ずはウイルス再活性化と炎症性サイトカイン遺伝子発現の関連性を解析した。しかしながら、ウイルス再活性化群と非再活性化群間で明らかな相違を認めず、ELISA法で測定した血清サイトカイン濃度との関連性も認められなかった。そこで、末梢血単核球中の炎症性サイトカイン遺伝子発現の解析を断念し、血清中の炎症性サイトカイン濃度をELISA法で測定器解析することにした。名古屋大学小児科、名古屋第一日赤小児医療センターで同種造血幹細胞移植を受けた小児24例を対象とした。HHV-6感染の判定は経時的に採取した末梢血単核球からのウイルス分離、血清診断によった。24例中14例(58.3%)でHHV-6感染が認められ、そのうち9例(37.5%)から移植後2週間から3週間でウイルスが分離された。移植日をday 0とし、day 7、day 14、day 28に採取した血清を用いて、ELISA法(BIOSOURCE社製サイトカイン測定キットを使用)によりIL-6、TNF-α、IL-1βの3種類の炎症性サイトカインを測定しウイルス感染群と非感染群間で比較検討した。尚、統計処理はMann-Whitney U検定で行った。IL-6の平均値はday 7(54.8vs16.3pg/ml ; P=0.0271)、day 14(44.2vs0.4pg/ml ; P=0.0002)、day 28(18.8vs4.4pg/ml ; P=0.0137)においてHHV-6感染群で有意に高値を示した。さらにTNF-αの濃度もday 14(13.1vs3pg/ml ; P=0.023)においてHHV-6感染群が有意に高値を示した。その他のタイムポイントではHHV-6感染群と非感染群間で有意差を認めず、またこのキットでは1L-1βは殆どの検体で測定感度以下であったため解析不可能だった。本研究結果から、同種造血幹細胞移植患児におけるHHV-6感染の発症において、IL-6、TNF-αの二種類の炎症性サイトカインが重要な役割を担っていることが示唆された。HHV-6の前初期遺伝子のプロモーター領域にはNF-κBの結合領域があることが明らかにされており、cytomegalovirusで示唆されているように、HHV-6が潜伏感染している単核球に対するTNF-αをはじめとした炎症性サイトカイン刺激がNF-κBの上昇を介してウイルス再活性化を促進している可能性が考えられる。
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Research Products
(6 results)