2002 Fiscal Year Annual Research Report
乳児重症ミオクロニーてんかん発症機構及び薬理学的対症法の検討
Project/Area Number |
14570789
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
菅原 隆 理化学研究所, 神経遺伝研究チーム, 研究員 (70235860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 和弘 理化学研究所, 神経遺伝研究チーム, チームリーダー (30241235)
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Keywords | 電位依存性Naチャネル / 乳児重症ミオクロニーてんかん / SCN1A |
Research Abstract |
乳児重症ミオクロニーてんかん(SMEI)は、0歳児の半ばに発症し、日或いは週単位の全般性強直間代発作や易変性ミオクロニー・側交代性片側間代発作等を有する重篤なてんかんである。2001年にClaesらは、7人の患者全例の電位依存性Naチャネルα-サブユニットのタイプIに遺伝子異常があることを報告した。他の調査でも非常に高い割合(70%以上)で遺伝子異常が発見され、病因遺伝子として認められた。中枢神経系の神経細胞体に発現する電位依存性Naチャネルの大多数を占めるサブタイプIのナンセンス変異やフレームシフト等の遺伝子異常は、チャネル機能を著しく欠損させ、小児期の精神運動発達に大きな影響を及ぼすと容易に推定される。しかしながら発作を誘発するメカニズムは明らかではなく、最初に遺伝子異常がもたらすチャネル機能の変化を調べる必要があった。 我々は、ライブラリースクリーニング等で採取した全長cDNAをベクターに組み込み、mutagenesis法を用いて遺伝子変異を持つナンセンス変異3種類;ミスセンス変異3種類、計6種類の変異チャネルを作成した。この変異チャネルをヒト胎児細胞に発現させ、機能異常について調べた。 パッチクランプ法を用いた電気生理学的な実験では、6種類の変異全てがNa^+電流を大きく減少させる効果を持つことを世界で初めて明らかにした。これは、同じ電位依存性Naチャネルα-サブユニットのタイプIに遺伝子異常が報告されている熱性痙攣プラスを伴う全般てんかん(GEFS+)でいわれているNa^+イオンの過剰流入と逆の変化である。この違いがSMEI特有の症状である精神運動発達遅滞や薬剤に対する耐性の誘因であるということが推定される。
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