2002 Fiscal Year Annual Research Report
メルケル細胞の細胞生物学的特性の研究-特に毛嚢メルケル細胞の機能について
Project/Area Number |
14570811
|
Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
成澤 寛 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (60164498)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平島 徳幸 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (30346879)
中房 淳司 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (50253828)
三砂 範幸 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (90199977)
|
Keywords | 毛嚢 / 幹細胞 / メルケル細胞 / 毛盤 / ラット / 表皮シート / 抜毛 |
Research Abstract |
メルケル細胞の機能や発生学的起源、あるいは分化のメカニズムについても未だ不明な部分が多い。毛盤にはメルケル細胞が比較的多数存在するため、メルケル細胞の機能を解析する上で毛盤は重要な研究対象となる。毛盤を構成する要素として多数のメルケル細胞と共に毛嚢は重要である。毛嚢における毛周期の活動期・退行期・休止期のメカニズムについては解明されていない。Moll I. et al.によりマウスの毛盤のメルケル細胞と毛周期との関連が報告された。そこで今回はラットの毛盤のメルケル細胞と毛周期との関連を三次元的手法を用いて調べた。 マウスの背部の皮膚を抜毛し、抜毛後0,1,3,5,8,12,17,18日の表皮シートを作成して毛盤のメルケル細胞数の変化を3次元的に調べた。その結果毛周期に連動してメルケル細胞数の変化を認めた。次に、毛盤に存在するメルケル細胞の数の変化を胎生期から継時的に観察した。ラット背部の皮膚を用い毛盤の形態形成期及びその後の毛周期に伴う毛盤のメルケル細胞の数の変化を3次元的に観察した。胎生18日から生後100日までのラット背部の皮膚の表皮シートを作成し、毛嚢の発生段階である第1周期と毛嚢の再生による第2周期および第3周期における毛盤に存在するメルケル細胞は、胎生期および生後と共に成長期前期から中期にかけて増加し、成長期中期から退行期にかけて減少した。この結果から毛盤に存在するメルケル細胞の分布は、毛周期に連動して増減することが明らかになった。 また、メルケル細胞は光顕レベルでoval cell typeとdendritic cell typeの形態学的多様性が報告されているが、両者の頻度を継時的に観察したところoval cell typeのメルケル細胞数は毛周期に大きな影響を受けることなく、毛盤1個あたり5.6個であった。一方dendritic cell typeのメルケル細胞数は毛周期により著明な増減を示した。分泌機能を有するとされるdendritic cell typeのメルケル細胞が選択的に毛周期と関連して何らかの機能を果たしていることが推測された。
|