2003 Fiscal Year Annual Research Report
メルケル細胞の細胞生物学的特性の研究-特に毛嚢メルケル細胞の機能について-
Project/Area Number |
14570811
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
成澤 寛 佐賀大学, 医学部, 教授 (60164498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 由宏 佐賀大学, 医学部, 助手 (20304892)
中房 淳司 佐賀大学, 医学部, 助手 (50253828)
三砂 範幸 佐賀大学, 医学部, 講師 (90199977)
鈴木 康之 佐賀大学, 医学部, 助手 (20363434)
平島 徳幸 佐賀大学, 医学部, 助手 (30346879)
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Keywords | メルケル細胞 / 毛組織 / 毛周期 / 毛盤 |
Research Abstract |
メルケル細胞は1875年にF.Merkelから発見された。その後、数多くの研究の蓄積にもかかわらずメルケル細胞の機能や発生学的起源、あるいは分化のメカニズムについても未だ不明な部分が多い。毛盤にはメルケル細胞が比較的多数存在するため、メルケル細胞の生物学的研究にとって毛盤に局在するメルケル細胞は有用である。 毛周期の活動期・退行期・休止期それぞれへの誘導因子や抑制因子、修飾因子が見つかっているものの、そのメカニズムについては解明されていない。ところがマウスを使用した実験で毛盤のメルケル細胞と毛周期との関連が報告された。そこで今回はラットを使用して、毛盤のメルケル細胞と毛周期との関連を調べた。 まずマウスの背部の皮膚を抜毛し、抜毛後0,1,3,5,8,12,17,18日の表皮シートを作成して毛盤のメルケル細胞数の変化を調べたところ、毛周期によるメルケル細胞数の変化を認めた。つまり、depilationにより毛周期の調整が行われたマウスにおいて毛盤のメルケル細胞の増減が観察された。 次に、毛盤に存在するメルケル細胞の毛周期に伴う数の変化を、ラット背部の皮膚を材料として表皮シートを作成し、3次元的に観察した。胎生18日から生後100日までのラット背部の皮膚の表皮シートを作成し、毛包の発生段階である第1周期と毛包の再生による第2周期および第3周期における毛盤に存在するメルケル細胞数の変化を調べたところ、胎生期および生後と共に成長期前期から中期にかけて増加し、成長期中期から退行期にかけて減少した。この結果から毛盤に存在するメルケル細胞の分布は、毛周期に連動して増減することが明らかになった。 また、メルケル細胞は形態学的にoval cell typeとdendritic cell typeに大別される。oval cell typeは神経終末と接合がよくみられ、dendritic cell typeは神経との接合があまりみられず、分泌機能を営んでいると推測されている。さらに両者の頻度を継時的に観察したところoval cell typeのメルケル細胞数は毛周期に関係なくほぼ一定しており、毛盤1個あたり5.6個であった。一方dendritic cell typeのメルケル細胞数が、毛周期により変化していた。つまり分泌機能を有するとされるdendritic cell typeのメルケル細胞が選択的に毛周期と関連することが推測された。
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