2005 Fiscal Year Annual Research Report
尋常性乾癬の病態における性ホルモンの役割及びその治療における性ホルモンの有用性
Project/Area Number |
14570825
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
神田 奈緒子 帝京大学, 医学部, 助教授 (50260493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 晋一 帝京大学, 医学部, 教授 (90114719)
大西 譽光 帝京大学, 医学部, 講師 (80233211)
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Keywords | 尋常性乾癬 / アポトーシス / 17β-エストラジオール / 表皮角化細胞 / Bcl-2 |
Research Abstract |
女性では妊娠中、尋常性乾癬が軽快することが知られており、女性ホルモンが尋常性乾癬の発症、進行を抑制する可能性が示唆される。尋常性乾癬患者の表皮角化細胞ではアポトーシスが異常に亢進しており、アポトーシス抑制蛋白Bcl-2の発現レベルが低下している。本研究では、ヒト表皮角化細胞のアポトーシスに対する17β-エストラジオール(E2)の作用を検討した。酸化ストレスは角化細胞のBcl-2発現レベルを低下させ、アポトーシスを誘導したが、E2はBcl-2の発現を促進することにより酸化ストレスによるアポトーシスを抑制した。E2は転写因子CRE-binding protein(CREB)のリン酸化を誘導することにより、CREB依存性のBcl-2転写を促進した。cAMP合成酵素アデニレートサイクレースの阻害剤は、E2によるCREBのリン酸化とBcl-2転写を抑制した。E2は表皮角化細胞のアデニレートサイクレース活性を増強し、cAMPシグナルを誘導した。細胞膜非透過性のbovine serum albumin結合型エストロゲン(E2-BSA)は表皮角化細胞表面に結合し、E2と同様に、cAMPシグナルおよびBcl-2発現を誘導した。G-protein-coupled receptor, GPR30のアンチセンスオリゴヌクレオチドはE2,E2-BSAによるcAMPシグナル、Bcl-2転写の誘導を抑制した。以上の結果から、E2は表皮角化細胞の膜上のGPR30に結合し、cAMPシグナルの誘導を介してBcl-2の発現を促進し、酸化ストレスによるアポトーシスを抑制すると考えられる。以上の結果から、E2は尋常性乾癬患者の表皮角化細胞の、異常に亢進したアポトーシスを抑制し、皮膚の恒常性を維持することが予想され、乾癬の治療にE2が有効であることが示唆される。
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Research Products
(2 results)