2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト皮膚における血管新生刺激サイトカインの発現とその作用機序に関する包括的研究
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14570827
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
相馬 良直 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (50171377)
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Keywords | VEGF / 線維芽細胞 / 血管新生 / 創傷治癒 / TGF-β / PDGF / IL-1α / IFN-γ |
Research Abstract |
[背景]Vascular endothelial growth factor (VEGF)は、血管内皮細胞の増殖を強力に促進する細胞成長因子であり、腫瘍増殖や創傷治癒などにおける血管新生の場において主要な役割を果たしていると考えられている。従来、皮膚におけるVEGFの主なsourceは表皮角化細胞であると考えられてきたが、実際は表皮角化細胞がまったく存在しない皮膚の潰瘍底において活発な血管新生を伴う肉芽形成がみられることから、表皮角化細胞以外にVEGFのsourceが存在するのではないかと思われる。我々は線維芽細胞をその有力な候補と考え、そのVEGF産生能を調べた。[方法]健常人の皮膚から線維芽細胞を培養し、その細胞が分泌するVEGFをELISAで測定した。VEGF mRNAの測定にはreal-time PCR法を用いた。[結果]無刺激状態では線維芽細胞からのVEGF産生はわずかであったが、TGF-βで刺激するとそのVEGF産生は非常に高まり、無刺激時の10倍以上に達した。PDGFとIL-1αでも数倍の刺激効果がみられたが、EGF、bFGF、IFN-γ、TNF-αなどでは刺激効果はみられなかった。TGF-βのVEGF産生刺激作用はPDGFとIL-1を加えることにより相加的に高まり、3者を同時に加えた場合には無刺激時の数十倍のVEGFが分泌された。real-time PCR法によるmRNAレベルの検討でも、同様の刺激効果が示された。[考察]TGF-βとPDGFは共に創傷の初期段階で血小板から放出され、創傷治癒において主要な役割を果たしていると考えられている。これらのいわゆるwound hormoneの刺激により線維芽細胞から大量のVEGFが産生されたという観察結果は、創傷治癒において線維芽細胞がVEGFの主要なsourceとなっている可能性を示唆するものである。
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Research Products
(1 results)