2002 Fiscal Year Annual Research Report
悪性黒色腫の放射線抵抗性機序の解明-メラニン合成能とエルカインド回復の関係
Project/Area Number |
14570889
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
平塚 純一 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (30192298)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 浩文 (株)バイオリサーチ, 代表取締役・主任研究員(研究職)
大槻 剛巳 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (40160551)
|
Keywords | 悪性黒色腫 / 放射線抵抗性 / エルカインド回復 / メラニン合成能 / TRP-2 / 細胞周期 / 相同組換え修復 / RAD51 family |
Research Abstract |
今回、放射線抵抗性癌の代表である悪性黒色腫に的を絞り、メラニン合成能と放射線抵抗性の関係を検討した。基礎実験において、メラニン合成能と放射線抵抗性には正の相関関係がある事がわかっており、また、DNAに損傷をきたす紫外線、抗癌剤に対する抵抗性にTRP-2が関与しているという報告から、TRP-2に焦点を当て放射線抵抗性に及ぼす影響を解析した。 Ihara細胞(ヒト黒色腫細胞)と同細胞にTRP-2遺伝子(pCMVDTS)をエレクトロポレーション法により導入し樹立した細胞株IDT-10とにおいて比較検討した。両細胞で遺伝子導入による細胞増殖には特に影響はなかった。TRP-2の発現量は蛋白レベルでIDT-10細胞がIhara細胞の約2.8倍、メラニン含量は約1.5倍であり、X線照射後のコロニーアッセイ法による生存率曲線で、IDT-10の生存率上昇が認められた。この生存率の上昇は、放射線生物学で言う「エルカインド回復(SLDR)」の差であり、細胞自体の放射線感受性には両者に差は認めなかった。また、X線8Gy照射後の細胞周期の分布を経時的に測定したところ、照射直後からIDT-10細胞ではS〜G2期に集積する傾向がみられ、64時間後もIhara細胞と比較して有意に高い集積率であった。 すなわち、TRP-2による放射線抵抗性の増加は、細胞周期のlate S〜G2期における相同組換え修復であることが推測され、サイクリンをはじめとした細胞周期調節系あるいは相同組換え修復の中心的役割を演じるRAD 51 familyとの関連が示唆された。
|