2002 Fiscal Year Annual Research Report
治療成績を左右する因子と放射線感受性の修復能依存性の解析
Project/Area Number |
14570896
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
古澤 佳也 放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 研究員 (50260237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 興一 放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 研究員 (00159526)
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Keywords | 放射線治療 / 放射線感受性 / DNA損傷修復 / 重粒子線 / 悪性黒色種 / 扁平上皮癌 / 高LET |
Research Abstract |
癌の放射線治療において腫瘍の種類と放射線の種類によって異なる治癒成績の違いの細胞学的基礎を明らかにするために、放射線応答の異なるヒト腫瘍;悪性黒色種(9種)と扁平上皮癌(10種)の生存率曲線によるパラメータ解析を行った。ここから特徴的な細胞株を選別し、遺伝子型の違いによって異なる放射線照射による細胞周期の変動と、DNA二本鎖損傷修復蛋白の発現程度を調べ、放射線感受性との相関を解析した。またそれぞれの細胞群で特徴的な異常型を示す蛋白を中心に発現の違いに関する予備的調査を行った。さらに、次年度計画の動物系でこれらの結果を実証するために、マウスへの移植性、移植腫瘍の増殖性などを調べ、動物実験系で使いうる腫瘍系の検索を行う実験を開始した。 非相同末端結合修復及び相同組換修復遺伝子のノックアウト細胞を用い、この組み合わせによる放射線のLETに対する細胞致死感受性を調べた。両遺伝子を欠いた場合、あるいは非相同末端結合修復遺伝子を欠き且つ相同組換えが出来ない細胞周期の細胞では、LETの上昇に従って正常細胞ではみられる放射線感受性の上昇が検出されず、感受性の上昇はDNA二本鎖切断の誤修復に起因していることが示唆された。 これと同一の系を用いて染色体異常を調べるため、この細胞に対するPCC-FISH法を確立して予備実験を開始した。これからX線では両遺伝子欠損株は野生株に比べて10倍以上高い頻度で染色体異常が生じること、野生株ではLET依存性が認められるにもかかわらず、両遺伝子欠損ではLETが上昇してもその頻度の上昇がないこと等が判ってきた。 また教科書的には高LET放射線ではみられないとされる亜致死損傷回復について、二回目の照射に低LET放射線を用いることで、初回の放射線のLETが非常に高い場合であっても、これが低LET放射線同士の場合と同等に起こっていることを確認した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kagawa K.: "Preclinical biological assessment of proton and carbon ion beams at Hyogo Ion Beam Medical Center"International Journal of Radiation Oncology Biology and Physics. 54. 928-938 (2002)
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[Publications] Aoki M.: "Effect of a hypoxic cell sensitizer Dranidazole in radiation-induced apoptosis of mouse L5178Y lymphoma cells"Journal of Radiation Research. 43. 161-166 (2002)
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[Publications] Furusawa Y.: "Simultaneous exposure of mammalian cells to heavy ions and X-rays"Advances in Space Research. 30. 877-884 (2002)
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[Publications] Shao C.: "Nitric oxide-mediated bifunctional bystander effect induced by heavy-Ion Radiation in human salivary grand neoplastic cells"International Journal of Radiation Biology. 78. 837-844 (2002)
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[Publications] Suzuki S.: "Models for mixed irradiation with a 'Reciprocal-Time' pattern of the repair function"Journal of Radiation Research. 43. 257-267 (2002)
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[Publications] 高橋明久: "各種LET放射線による癌細胞の死型解析"日本医学放射線学会誌. 62. 3-6 (2002)