2002 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲンのドパミン作動性神経系への関与:産褥期精神病の病因仮説の形態学的根拠
Project/Area Number |
14570918
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
城山 隆 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (00252354)
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Keywords | ドパミン / エストロゲン / 産褥期精神病 |
Research Abstract |
当初の計画では、エストロゲンレセプターα、βサブユニット(ER-α、β)のドパミン作動性ニューロン(DAニューロン)における存在の有無や様式を検索する予定であった。しかし、この課題に関する詳細な報告が発表された(Creutz LM and Kritzer MF. J Comp Neurol 2002 May 6;446(3):288-300)。そのため、計画の見直しを行い、免疫系とエストロゲン、DAニューロンの関連を探ることにした。本研究の実施者による以前の研究で、弓状核DAニューロンにおける免疫系の情報伝達に関与するインターロイキン2のレセプター(IL-2R)の存在を確認していること(平成11〜12年度科学研究費)、および産褥期に免疫系システムの大きな変化が起こることに着目して、産褥期精神病の生物学的背景として、エストロゲンや免疫系のサイトカインが同時に直接DAニューロンに作用する形態学的根拠を探るものである。免疫組織化学的方法を用いた3重染色(抗IL-2Rα抗体、抗ER-α・β抗体、および抗チロシンヒドロキシラーゼ抗体を使用)により、共焦点レーザースキャン顕微鏡を用いて、IL-2Rを有する弓状核DAニューロンが同時にER-αもしくはER-βを有するかどうかの解析をおこなった。現在のところ3重陽性のニューロンはみられないが、2重陽牲(IL-2Rα陽性とER-β陽性、チロシンハイドロキシラーゼ陽性とER-β陽性)のニューロンはみられた。二重陽性ニューロンは、弓状核だけでなく、腹側被蓋野にもみられた。3重染色は、方法上の困難による偽陰性の可能性もあり、来年度も引き続き上記の3重染色を試みる予定である。結果が陽性であれば電子顕微鏡レベルでの解析に進みたい。
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