2003 Fiscal Year Annual Research Report
健常老人の画像追跡によるアルツハイマー型痴呆の発症前予徴の早期発見:第11次研究
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14570945
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
笠原 洋勇 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60056950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 敏彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10317985)
高梨 葉子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90266643)
中西 達郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10287261)
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Keywords | MRI / BVRT / ECR / temporal lobe / rating scale |
Research Abstract |
306例の健常老人の追跡調査を行っており、そのうちデータ未解析分も含め2003年12月で150名の3年後の2回目調査が行われた。この中で初回参加者のうち5名が死亡、2名が痴呆発症となっている。なお現時点では4名に痴呆が認められている。MRIの検査と認知テスト、問診を行っていくことで脳構造と脳機能についての3年ごとの経年変化のデータを蓄積している。 今回はベントン視覚記銘検査の他Enhanced cued recall(ECR)、符号問題(Symbol Digit Substitution)を認知検査に加えた。 視床のT_2HSIはベントンテストの正確数の低下と相関がみられ、視床のT1画像の低信号とT2強調画像の高信号が同部位みられた例ではECRの自由再生と合計数で有意な相関がみられた。シルビウス裂の拡大はベントンテストの正確数と誤数について有意な相関がみられた。脳梁の萎縮はベントンテストの正確数、誤数およびECRの自由再生、合計数とも有意な相関を示した。頭頂葉のT_2HSIは最高血圧、ベントンテストの正確数、誤数に相関がみとめられた。 このうち現時点でMRI上の皮質の萎縮、側頭葉の萎縮、側脳室の拡大、シルビウス裂の拡大のいずれかの所見を認める例で3年後の認知テストの低下につながることがわかった。またT_2HSIの存在が部位によって脳機能の低下をもたらしていることが示唆された。 このためMRI画像上の所見から健常老人の脳機能の変化について推測していくことが可能となり、データをさらに全例の2回目検査および6年後の3回目検査と蓄積していくことにより健常老人の脳機能だけでなく生活上の変化もとらえることができる。 またデータ処理担当者を雇用する予定であったが、病気により勤務不可能となった。このため別に委託研究者として医師を雇いMRIに関しては水平断の視察判定に加え、冠状断画像の判定を担当していただきこれに関する研究成果をうることが出来た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 笠原洋勇: "高齢者のうつ病"日本醫事新報. No4126. 24-30 (2003)
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[Publications] 笠原洋勇, 小高文聰, 伊藤達彦: "Huntington病(脳器質性精神障害神経変性疾患)"日本臨牀. No40. 261-264 (2003)
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[Publications] 笠原洋勇, 小高文聰: "老炎医療の歩みと展望(社団法人日本老年医学編)"メジカルビュー社. 320 (2003)