2003 Fiscal Year Annual Research Report
探索眼球運動を指標とした精神分裂病の22番染色体遺伝子座の同定
Project/Area Number |
14570947
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大久保 起延 日本大学, 医学部, 講師 (90328716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 卓也 日本大学, 医学部, 教授 (40014203)
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Keywords | 統合失調症 / 探索眼球運動 / 22番染色体 / 伝達不平衡 / APOL3 / APOL4 |
Research Abstract |
本研究では統合失調症(精神分裂病)の探索眼球運動を指標としたゲノム・スキャンの結果に基づく,統合失調症と関連する22q11.2領域近傍の遺伝子解析を行った。昨年度は統合失調症の家系でbeta-adrenergic receptor kinase 2(ADRBK2)遺伝子とpeptidylprolyl isomerase (cyclophilin)-like 2(PPIL2)遺伝子を調べ,統合失調症は関連しないことが示唆された。今年度は短腕末端から15.967Mb〜16.063Mb,16.129Mb〜16.527Mb,16.989Mb〜17.101Mbの3領域においてハプロタイプTDTにより統合失調症と関連が示唆され,この過程でPRODH遺伝子を含む約100kbの欠失を持つ1家系を検出した。PRODH遺伝子欠失の簡易スクリーニング法によりコントロール900人,統合失調症500人,気分障害100人を検討したが,PRODH遺伝子の欠失は統合失調症と関連しないことが示唆された。これらの遺伝子のやや近傍で,22q12.3領域における約20kb間隔の多型による連鎖不平衡(LD)の解析をし,RBM9遺伝子のプロモーターから第3エクソンまでに大きいLDブロックが認められ,APOL4遺伝子で小さなLDブロック,APOL3とMYH9に弱いLDブロックがみられ,その他にはLDブロックはなかった。この領域の関連解析の結果,APOL1〜L4遺伝子のセントロメア側のD22S278及びその付近のSNPとテロメア側のD22S283で関連がみられた。D22S278はRBM9(RNA binding motif protein 9)遺伝子の第1イントロンに存在するため,この遺伝子の第1,2エクソン及びその上流約1.2kbについて変異検索を行い,約1.2kb上流と第1イントロンに1つずつ多型を検出した。この多型のTDTの結果、SNP4、D22S278およびD22S283で統合失調症と関連が示唆された。以上から,22q11.2領域における統合失調症との連鎖不平衡により3領域において統合失調症との関連が示された。PRODH遺伝子の欠失は統合失調症のリスクを高めないことが示唆された。また,22q12.3領域ではAPOL1,L2,L3,L4遺伝子の近傍の多型と統合失調症とが関連することが考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Matsuda T, Matsuura M, Ohkubo T, et al.: "Functional MRI mapping of brain activation during visually guided saccades and antisaccades : cortical and sub-cortical networks"Psychiatry Res : Neuroimaging. (in press).
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[Publications] Ohtsuki T, Tanaka S, Ishiguro H, et al.: "Failure to find association between PRODH deletion and schizophrenia"Schizophrenia Res. 67. 111-113 (2004)
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[Publications] Takahashi s, Ohtsuki T, Yu Shun-Ying, et al.: "Significant linkage to chromosome 22q for exploratory eye movement dysfunction in schizophrenia"Am J Med Gent. 123B. 27-32 (2003)
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[Publications] Mikami T, Naruse N, Fukura Y, et al.: "Vulnerability to schizophrenia in methamphetamine psychosis -using exploratory eye movements"Psychiatry Clin Neurosci. 57. 433-440 (2003)
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[Publications] 大久保起延, 大久保博美, 松浦雅人, 他: "探索眼球運動の神経機構.fMRI を用いた統合失調症の賦活と課題成績・精神症状との関係"精神医学. 45巻・12号. 1285-1290 (2003)
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[Publications] 大久保起延, 松浦雅人, 松田哲也, 他: "探索眼球運動の神経機構.fMRIを用いた健常者と統合失調症患者の賦活部位の検討"臨床脳波. 45巻・4号. 227-233 (2003)