2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー型痴呆の脳電位空間構造の特徴とその塩酸ドネペジル治療による変化
Project/Area Number |
14570951
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
木下 利彦 関西医科大学, 医学部, 教授 (20186290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入澤 聡 関西医科大学, 医学部, 助手 (40340666)
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Keywords | アルツハイマー型痴呆 / 脳波 / 定量脳波 / 脳波空間解析 / 認知症 / Microstate analysis |
Research Abstract |
これまでの研究成果に加えて、最終の今年度(H17年度)は、軽症アルツハイマー型痴呆患者(mild-ADs)17名と対照高齢健常者(normals)17名に、脳波(脳電位)空間解析手法の一つであるMicrostate解析を試みた。脳電位空間構造は、一定の類似したパタンが持続した後に急速に他のパタンに変化すると考えられる。この類似した電位空間構造が持続する区間を、Lehmann(海外共同研究者)は脳のmicrostateと呼び、脳内の情報処理過程を担う電気的最小単位であるとした。近年、人間のmicrostatesは人種を超えて、4つの電位図(microstate class A, B, C, D)に集約されることがわかってきている。これらclass A, B, C, Dの形状、および出現頻度・平均持続時間・占有率を求めるのがMicrostate解析である。 mild-ADsとnormals間で4つの電位図の形状を比較したところ、class BとDにおいて有意な差異を認めた。この差異は、mild-Adsにおける脳器質的あるいは機能的変性を反映していると考えられる。また、normalsに比べて、mild-Adsのclass Aの占有率が有意に増加、class Cの占有率が有意に減少しており、classCの平均持続時間が有意に短縮していた。mild-Adsの占有率に関する結果(Aの増加とCの減少)は、過去の知見に一致していた。平均持続時間の短縮(Cのみならず、有意差はないがA, B, Dも短縮)は、mild-Adsの脳内情報処理過程の障害を示唆するものと推測される。さらに、class Cは脳の安静・休息状態を反映すると考えられていることからすると、Cの平均持続時間の短縮は、mild-Adsがnormalsに比して不安や緊張が高い状態にあった可能性をも示している。
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Research Products
(1 results)