2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570965
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Research Institution | Tokyo Medical Mand Dental University |
Principal Investigator |
山岡 昇司 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90263160)
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Keywords | 成人T細胞白血病 / ATL / NF-kB / IKK |
Research Abstract |
ATL細胞における恒常的NF-κB活性化では、1 IκB蛋白質がリン酸化されている、2 その原因が細胞質でのIκB kinase (IKK)複合体活性化にある、3 その活性化がIKK2、NF-κB Essential Modulator(NEMO)には依存せず、IKK1に依存する非定型的活性化経路によって担われている、4 その結果NF-κB2/plOO のプロセッシングによるp52発現が亢進している、ことを解明し論文として発表した(Neoplasia, in press)。本研究ではまず、ATL細胞においてはHTLV-I Taxの有意な発現が見られないことから、IKK複合体の恒常的活性化メカニズムがTaxによる場合とどのように異なるかに着目した。Taxの場合、NEMOに依存してIKK複合体を活性化することが研究代表者の以前の論文で明らかにされており、主にIKK2が活性化されるという他の研究者の報告がある。事実、Taxを発現するMT2細胞ではNEMOやIKK2の変異体は強力にNF-κB活性化を抑制した。一方、ATL細胞ではIKK複合体の活性化はNEMOやIKK2の変異体では抑制されず、IKK1の変異体で抑制された。しかしNF-κB2/plOOのプロセッシングによるp52発現誘導という結果は非常によく似ており、ATL細胞はTaxを発現せずに同様なNF-κB活性化を起こしていると言える。以上の結果にもとづいて私は、CD8T細胞の標的となりやすいTaxの機能を細胞側変異で肩代わりすることができれば、腫癌細胞としての増殖に有利であり、そのような細胞が最終的にATLを引き起こす、という仮税を提唱した。ATL細胞で恒常的NF-κB活性化の原因となっている変化を同定することは、この難治性白血病の有効な治療法開発の基盤となると期待する。
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Research Products
(1 results)