2003 Fiscal Year Annual Research Report
ピリミジン-5'-ヌクレオチダーゼ(P5N)異常症の病因解明とP5Nの機能解析
Project/Area Number |
14571001
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Research Institution | TOKYO WOMEN'S MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤井 寿一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70107762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝澤 剛則 愛知県心身障害者コロニー研究所, 室長 (40192158)
小泉 勤 福井医科大学, 医学部, 助教授 (40126579)
菅野 仁 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (70221207)
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Keywords | 遺伝性非球状性溶血性貧血 / 赤血球酵素異常症 / ピリミジン-5'-ヌクレオチダーゼ異常症 / トランスジェニックマウス / インフルエンザウイルス / 免疫応答 |
Research Abstract |
我々は国内の諸施設より依頼された原因不明の遺伝性非球状性溶血性貧血33症例を検索し、ピルビン酸キナーゼ異常症1例とグルコース-6-リン酸脱水素酵素異常症5例を診断した。 ピリミジン-5'-ヌクレオチダーゼ(P5N)にはI型とII型の2種類のアイソザイムが存在する。P5N-1過剰発現による細胞内ピリミジンヌクレオチオド濃度低下に伴う転写への影響、α-インターフェロン応答遺伝子の恒常的発現による免疫系への影響や、ピリミジンヌクレオチドアナログの細胞毒性に対する耐性獲得など、赤血球以外の組織でのP5N-Iの生理的意義について検討する目的でpCX-EGFPにヒトP5N-IcDNAを挿入し、P5N-Iをubiquitousに過剰発現するトランスジェニックマウスを作製した。トランスジーンの発現はRT-PCR、イムノブロット、酵素活性測定により検討した。現在までに1ラインのファウンダーが得られ、そのF1を用いてトランスジーンの発現を検討した結果、マウス肝、腎にヒトP5N-ImRNAを検出したイムノブロット解析で、トランスジーンの発現量は肝、腎共にendogenousな遺伝子産物の2倍以下であった。 P5N-Iはα-インターフェロンにより誘導され、またHIVやSLEなどの患者のリンパ球で発現が増加していることから、免疫応答において何らかの役割を果たしていると予想される。しかしながら、培養細胞を用いたインフルエンザウイルス感染に対する影響は、顕著には認められなかった。インフルエンザウイルスはα-インターフェロンにより増殖が抑制されることが知られているが、主に呼吸器の上皮系の細胞に感染すること、また急性の感染経過であることから、HIVなどのリンパ球などへの持続感染とは宿主応答が異なっているともいえる。そのために、P5Nの効果が認められなかったのかもしれない。
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[Publications] Aizawa, S., Kohdera, U., Miwa, S., Kanno, H., Fujii, H., et al.: "Ineffective erythropoiesis in the spleen of a patient with pyruvate kinase deficiency"Am.J.Hematol. 74. 68-73 (2003)
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[Publications] Morimoto, A., Ueda, I., Kannno, H., Fujii, H., Imashuku S., et al.: "A novel missense mutation (1060G→C) in the phosphoglycerate kinase gene in a Japanese boy with chronic hemolytic anemia, developmental delay and rhabdomyolysis"Brit.J.Haematol. 122. 1009-1013 (2003)