2004 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトマウスを用いた尿細管における電解質輸送の研究
Project/Area Number |
14571031
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
武藤 重明 自治医科大学, 医学部, 助教授 (40190855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 幸雄 自治医科大学, 医学部, 講師 (00285777)
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Keywords | クローディング / 近位尿細管 / Na / Cl輸送 / タイトジャンクション |
Research Abstract |
平成15年度に引き続き今年度も、近位尿細管のタイトジャンクションに発現しているクローディン2の細胞間短絡路のNaCl輸送における役割を解明した。ジーンターゲティング法により作成したクローディン2遺伝子のノックアウト(KO)マウスとその野生型(WT)マウスを用いて、腎機能と血圧を比較検討した。代謝ケージに24時間2群のマウスを入れ、水を自由に飲水できる状態で分画Na排泄と分画Cl排泄を測定したところ、いずれもKOマウスで有意な増加が認められなかった。一方、1日尿量はKOマウスでWTマウスの1.7倍に増加するとともに、尿浸透圧は有意に減少したことにより、KOマウスで尿濃縮力障害が存在することが示唆された。自由飲水での分画Na排泄と分画Cl排泄がKOマウスで増加しなかったことは、近位尿細管でのNaCl再吸収障害を遠位尿細管が代償していることが考えられた、これを証明するため、2%NaCl溶液を3日間飲水として与え、近位および遠位尿細管へのNaCl負荷を増加させたところ、2群のマウスはいずれも分画Na排泄と分画Cl排泄が増加したが、KOマウスでその増加が有意に大きかった。また、KOマウスではNaCl負荷後有意な体重減少が認められたのに対し、WTマウスでは不変であった。血圧はNaCl負荷前後で、2群のマウスで不変であった。昨年の報告と併せると、クローディング2欠損マウスは、1)近位尿細管上皮細胞においてもタイトジャンクションが存在し、WTマウスと比較してその構造に著しい差は認められない、一方、2)近位尿細管の細胞間短絡路の抵抗の増大と、この経路を介したNa再吸収を抑制する、3)Na負荷に対し過剰のNa利尿を示すことが明らかとなり、クローディン2が近位尿細管細胞間短絡路のNa再吸収に重要な役割を担っていることが考えられた。
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