Research Abstract |
ラットを用いた慢性肺疾患モデル作成実験につき,現在までの成果を報告する. 実験には,交配によって妊娠期間を確定した,WKAHラットを用いた. 妊娠日齢21のラットを全身麻酔のうえに開腹し,羊水腔内,胎児腹腔内に薬物を投与した.実験は4群で施行した. 1.生食投与(羊水腔内,胎児腹腔内とも) 2.胎児腹腔内G-CSF投与,羊水腔内生食投与 3.胎児腹腔内生食投与,羊水腔内LPS投与 4.胎児腹腔内G-CSF投与,羊水腔内LPS投与 更にこれらのラットに対し,妊娠22日分娩予定時刻の12時間前に帝王切開を施行,新生仔ラットを蘇生の上,里親に哺育させる実験系作成を試みた. 予備実験として,計7回,交配方法の確認,手術手技の確認,蘇生方法の確認をなった.この実験において,当初計画した手技および薬剤投与量では,新生仔の生存率が低いことから,麻酔手技や母獣安楽死の手技の変更および,薬物投与量の変更を行った.その結果,G-CSF 0.25μg, LPS 0.025mgの投与量であれば,新生仔の生存が得られることが明らかになった.現在までに,14回の実験を終了し,4群全例での生存が得られるようになった.G-CSFおよびLPSを投与する第4群では,出生直後より努力呼吸がみられ,全身に軽度チアノーゼが指摘されており,生後の体重増加不良がみられている.これらより何らかの肺病変,あるいは全身病変が発症した可能性が推察される.現在,同実験を継続し,病理所見,生化学所見を蓄積している.
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