ラットを用いたコルチコステロイド投与が新生児慢性肺疾患に及ぼす影響の解明

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14571045
• Research Institution: HOKKAIDO UNIVERSITY
• Principal Investigator: 長 和俊 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10312365)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 上田 恵子 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 ; 岡嶋 覚 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 ; 松田 直 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員
• Keywords: 慢性肺疾患 / ステロイド / エンドトキシン / G-CSF / ラット

Research Abstract

妊娠ラットを用いて,LPS羊水腔内投与を行い,新生ラットに慢性肺疾患実験モデルを作成した.妊娠ラット(WKAH)を4群とした(羊水腔内LPS(1μg)投与,胎児腹腔内G-CSF(0.25mg)投与,羊水腔内LPS投与,胎児腹腔内G-CSF投与,コントロール(生食)投与).Day21に薬物を投与した.Day22(薬物投与後24時間)に帝王切開にて新生ラットを娩出させ,里親ラットによりroom airで飼育した.各日齢(day1,3,7,14,21,45,60)における肺構造変化を,Morphometryを用いて解析した.
LPSを用いた群では,肺胞表面積減少,肺胞数減少,肺胞半径拡大が認められた.これらは,Day7より著明となり,Day60も持続し,結果としてfewer and larger alveoliを呈した.G-CSF投与は結果に影響を与えなかった.光顕像では,LPSを用いた群で,肺胞2次中隔の減少が認められたが,肺胞破壊像は認められず,弾性膠原繊維の量や分布にも,4群間に差を認めなかった.
これらより,出生前のLPS負荷のみで,新生ラット肺に構造変化を引き起こし,成獣であるDay60の肺にも変化を残すことが確認された.LPSを用いた群では,肺胞破壊の所見は認められず,肺胞の2次中隔が減少している事から,fewer and larger alveoliは,alveoralizationの阻害によるものと推察された.羊水腔内LPS投与が新生ラット肺にfewer and larger alveoliをきたし,この変化は長期に渡って認められるという本実験系は,未熟児慢性肺疾患に類似し,本疾患モデルが確立されたと考える.研究成果を日本周産期・新生児医学会および国際胎児学会で報告予定であり、論文の投稿準備中である.

Research Products

• [Publications] Kusaka T, Matsuda T, Okuyama K, Cho K, Okajima S, Kobayashi Y, Fujimoto S.: "Analyses of Factors Contributing to Vulnerability to Antenatal Periventricular Leukomalacia Induced by Hemorrhagic Hypotension in Chronically Instrumented Fetal Sheep"Pediatric Research. 51(1). 20-24 (2002)
• [Publications] Kiguchi S, Matsuda T, Cho K, Okuyama K, Akahane M, Fujimoto S.: "KUR-1246, a Novel β2-Adrenoceptor Agonist, as a Tocolytic Agent"Obstetrics and Gynecology. 100(3). 487-494 (2002)