2002 Fiscal Year Annual Research Report
早産児の慢性肺疾患の病態における細胞増殖因子の作用の解明
Project/Area Number |
14571054
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
市場 博幸 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (00305632)
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Keywords | 慢性肺疾患 / 細胞増殖因子 / 肺線維芽細胞 / 線維化 / 肺上皮細胞 / 修復 / 気管吸引液 |
Research Abstract |
種々の細胞増殖因子が慢性肺疾患(CLD)児の肺内においてどのように作用しているかを知る目的で、CLD児の肺の線維芽細胞のモデルとしてヒト胎児肺線維芽細胞培養系を確立し、この系を用いて以下の知見を得た。 (1)CLD児の気管吸引液を培地中に添加すると、濃度依存性にこの細胞の増殖が促進された。(2)この増殖促進活性の経日的変化を検討すると、日齢30〜40に最大値を示した。(3)この活性の強さはCLDの臨床的重症度と有意に相関した。(4)この活性は細胞増殖因子のチロシンキナーゼ型レセプター阻害剤、抗TGF-β抗体、抗FGF抗体、抗VEGF抗体によって抑制された。(5)recombinant human EGF、TGF-β、FGF、VEGFはこの細胞の増殖を促進したが、recombinant human HGFは増殖を抑制した。 以上よりCLD児の肺内に存在するTGF-β、FGF、VEGFが肺線維芽細胞を増殖させることによって、線維化を促進している可能性が示唆された。 次に、CLD児の肺胞上皮細胞のモデルとしてヒト肺胞上皮様細胞培養系を確立し、この系を用いて以下の知見を得た。 (1)CLD児の気管吸引液を培地中に添加すると、濃度依存性にこの細胞の増殖が促進された。しかし、この活性は以前に検討した肺線維芽細胞に対する増殖促進活性より弱かった。(2)この活性は細胞増殖因子のチロシンキナーゼ型レセプター阻害剤、抗HGF抗体によって抑制された。(3)recombinant human HGFはこの細胞の増殖を促進するが、recombinant human TGF-βは増殖を抑制した。 以上よりCLD児の肺内に存在するHGFは肺胞上皮細胞を増殖させることで肺障害からの修復に関与するが、TGF-βはこの修復を阻害することが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ichiba H, Tamai H, Negishi H, et al.: "Randomized controlled trial of magnesium sulfate infusion for severe birth asphyxia"Pediatrics International. 44. 505-509 (2002)
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[Publications] Hirai C, Ichiba H, Saito M, et al.: "Trophic effect of multiple growth factors in amniotic fluid or human milk on cultured human fetal small intestinal cells"J Pediatr Gastroenterol Nutr. 34. 524-528 (2002)
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[Publications] Saito M, Ichiba H, Hirai C, et al.: "Hydrops fetalis caused by intrauterine renal hypertension"Journal of Japan Society for Premature and Newborn Medicine. 15. 57-61 (2003)
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[Publications] 藤丸季可, 市場博幸, 平井智恵, 他: "MN式血液型不適合による重症溶血性貧血の一例"小児科臨床. 55. 28-30 (2002)
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[Publications] 望月貴博, 市場博幸, 倭和美, 他: "当初先天性ヘルペス感染症と考えて治療したCongenital self-healing reticulohistiocytosisの一例"小児科臨床. 55. 39-42 (2002)
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[Publications] 市場博幸: "第6章 胎児期から出生、保育・教育のための小児保健(安藤格、一色玄 監修、新平鎮博 編著)"光生館、東京. 8 (2002)