2003 Fiscal Year Annual Research Report
副腎皮質腫瘍における核内受容体によるホルモン産生異常機構の検討:核内オーファンレセプターCOUP-TFおよびSUMO-1結合酵素Ubc9の機能解析
Project/Area Number |
14571072
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柴田 洋孝 慶應義塾大学, 保健管理センター, 専任講師 (20245484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 勲 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90338038)
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Keywords | COUP-TF / 核内受容体 / coaccivator / corepressor / 副腎皮質 |
Research Abstract |
1.COUP-TFI,Ubc9の副腎における発現の検討 ヒト組織を用いたNorthern blotにより、COUP-TFI,Ubc9の組織分布を検討したところ、副腎皮質、精巣、卵巣などのステロイド産生組織に比較的高発現を認めた。そこで、ラット副腎を用いて、COUP-TFI,Ubc9の蛋白レベルの発現を免疫組織化学により検討した。その結果、Ubc9の発現は生後2週目では副腎皮質の球状層・束状層・網状層の3層すべての細胞の核に局在を認めた。そして、生後3週目、8週目と発達が進むにつれて、球状層に限局した局在に変化を認めた。一方、COUP-TFIは副腎皮質3層すべての細胞の核に局在を認めた。さらに、Sprague-Dawleyラットの雌雄におけるUbc9の局在の差は認めなかった。昨年の免疫共沈降法による実験で、COUP-TFI/Ubc9が複合体を細胞内で形成していることを考え合わせると、副腎皮質球状層においてCOUP-TFIおよびUbc9は共に複合体を形成して機能していることが推察された。 2.ステロイド合成酵素遺伝子の発現調節に及ぼすCOUP-TFI,Ubc9の役割の検討 1)アルドステロン合成酵素CYP11B2遺伝子プロモーター領域の検討 上記の副腎皮質球状層におけるUbc9の特異的な局在から、COUP-TFI/Ubc9によるアルドステロン合成における役割が示唆された。そこで次に、DNAse footprinting法により、ヒトCYP11B2遺伝子プロモーター領域における蛋白結合部位を検討した結果、いくつかのcis-acting elementが同定された。その中でも、-129/-114配列(Ad5)に着目してゲルシフト法を施行した結果、Ad5配列にCOUP-TFI,SF-1が共に相互拮抗的に結合することが示された。 2)Transient transfection assay ヒトCYP11B2遺伝子のプロモーター領域(-1521/+2)にluciferase cDNAを連結したレポータープラスミドを作製して、ヒト副腎皮質由来H295R細胞を用いてtransient transfection assayを施行した。その結果、COUP-TFIは一般にrepressorとして知られているにもかかわらず、CYP11B2レポーター活性を用量依存性に増加させることを見いだした。さらに、Ubc9を共発現させると同活性化が増強されたことから、Ubc9がCOUP-TFIの新規coactivatorとして機能することが見いだされた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hirotaka Shibata: "Regulation of Differential COUP-TF-coregulator interactions in adrenal cortical steroidogenesis"Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology. 85(2-5). 449-456 (2003)
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[Publications] Sakiko Kobayashi: "Ubc9 interacts with chicken ovalbumin upstream promoter-transcription factor I and represses receptor-dependent transcription"Journal of Molecular Endocrinology. 32(1). 69-86 (2004)
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[Publications] 柴田洋孝: "11β-HSDと病態-原発性アルドステロン症"ホルモンと臨床. 51(7). 71-77 (2003)
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[Publications] 柴田洋孝: "遺伝子改変動物を用いた副腎皮質の発生・増殖・ステロイド産生因子の機能解析"ホルモンと臨床. 51(10). 45-51 (2003)
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[Publications] 柴田洋孝: "COUP-TF and novel transcriptional coregulators in adrenal cortical steroidogenesis"ホルモンと臨床 (ステロイドホルモン研究の進歩 2003). 52(増刊号). 150-157 (2004)
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[Publications] 柴田洋孝: "副腎皮質腫瘍におけるホルモン産生異常と情報伝達系"内分泌・糖尿病科. 18(2). 112-119 (2004)
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[Publications] 柴田洋孝: "今日の治療指針 2003 (原発性アルドステロン症)"医学書院. 516-517 (2003)