2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変動物を用いたTCA回路遮断がもたらすエネルギー代謝への影響の検討
Project/Area Number |
14571084
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
曽根 博仁 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (30312846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島野 仁 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20251241)
豊島 秀男 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20197966)
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Keywords | TCA回路 / 遺伝子改変動物 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
高脂血症や糖尿病を始めとするエネルギー代謝異常症は、動脈硬化性疾患の最も重要な危険因子である。これらの背景である慢性的エネルギー過剰状態のメカニズムを解明するために、最も基本的なエネルギー代謝経路であるTCA回路を阻害したマウスを作成中である。哺乳動物においてTCA回路が、真に必須経路であるかどうかは未だ証明されておらず、このこと自体、生物学の根本的課題として大きなインパクトを有するが、それのみならず、同回路以外の代替エネルギー供給経路の発見、代謝疾患の病態生理解明、同回路修飾を標的にした創薬や遺伝子治療による代謝疾患の抜本的治療法開発など、本研究を端緒にとした多くの可能性が開けるものと期待している。マウスはまもなくヘテロが誕生する段階に入っており、今後ネルギー産生の低下したマウスにおいて基礎代謝、代謝性疾患の感受性、危険因子の発生、動脈硬化惹起性にもたらされる影響を調べることにより重要な知見が期待される。ホモ胎性致死の可能性も十分に考えられるが、その場合は、致死胎児の解析、胎児繊維芽細胞による細胞レベルでの検討をおこなう。またエネルギー代謝の量的側面を検討する意味で、ヘテロ型の生体エネルギー代謝の解析は興味深い。さらに胎性致死であったとしても、Cre-loxPシステムによるコンディショナルKOマウスも同時作成することから、一旦正常の代謝状態に発達したマウスのTCA回路を急激に不活化させたり、肝・筋・脂肪などの組織特異的に同酵素を不活化させた際の影響を検討できる。これは糖尿病、肥満、インスリン抵抗性などの代謝病態における臓器レベルでのエネルギー代謝の関与を検討する格好のモデルとなり、エネルギー代謝異常症の病態解明と治療法開発に大きく貢献するはずである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sone H, et al.: "Acetyl-coenzyme A synthetase is a lipogenic enzyme controlled by SREBP-1 and energy status"Am. J. Physiol. 282・1. E222-E230 (2002)
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[Publications] Sone H, et al.: "HMG-CoA reductase inhibitor decreases small dense low-density lipoprotein and remnant-like particle cholesterol in patients with type-2 diabetes"Life Sci.. 71・20. 2403-2412 (2002)
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[Publications] Malhotra R, et al.: "Glucose Uptake and Adenoviral Mediated GLUT-1 Infection Decrease Hypoxia-induced HIF-1alpha Levels in Cardiac Myocytes"J. Mol. Cell. Cardiol. 34・8. 1063-1073 (2002)
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[Publications] Sone H, et al.: "Obesity and type 2 diabetes in Japanese patients"Laucet. 361・9351. 85 (2003)