2003 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンホスファターゼによるインスリン抵抗性の臓器特異性の解明
Project/Area Number |
14571088
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
前川 聡 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (00209363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江川 克哉 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10335169)
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Keywords | チロシンホスファターゼ / PTP1B / インスリン抵抗性 / プロテインホスファターゼ / SREBP-1 |
Research Abstract |
インスリン抵抗性は糖尿病のみでなく循環器疾患など広く動脈硬化性疾患発症の背景となる病態であり、その発症機構の解明とともに軽減の対策が求められる。我々は高血糖状態下のインスリン抵抗性発症に細胞質型チロシンホスファターゼの1つであるPTP1Bが関与することを報告した。さらに、近年PTP1Bのノックアウトマウスが誕生し、同マウスがインスリン感受性の増強、高脂肪食による肥満誘発に対し抵抗性であることが報告され、PTP1Bはインスリン抵抗性軽減の新しいターゲット分子として注目されている。 今回、高果糖食負荷にて作成したメタボリックシンドロームモデルラットの肝臓において、PTP1Bの発現が増加すること、さらに培養肝細胞においても高インスリン、高ブドウ糖および高果糖培養がPTP1Bの遺伝子発現を増加させること、さらにアデノウイルスベクターにてPTP1Bを過剰発現するとインスリンシグナル伝達が障害され、インスリン抵抗性が誘導されることを証明した。これらの成績はメタボリックシンドロームにおけるインスリン抵抗性、高インスリン血症の悪循環がPTP1B発現亢進を介して形成されていることを示唆している。さらに我々はPTP1Bが、肝細胞において、インスリンシグナル障害とは独立して、プロティンホスファターゼ2A (PP2A)の活性化を介して脂肪合成系酵素の重要な転写因子であるSterol regulatory element binding protein (SREBP)-1の遺伝子発現を増加させることを見出し、PTP1B発現亢進が高中性脂肪血症の一因となることを証明した。 以上の成績により、PTP1Bが肝臓において、メタボリックシンドロームの病態形成に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Shimizu S, Ugi S, Maegawa H, et al.: "Protein-Tyrosine Phosphatase 1B as New Activator for Hepatic Lipogenesis via Sterol Regulatory Element-binding Protein-1 Gene Expression."J Biol Chem. 278. 43095-43101 (2003)