2003 Fiscal Year Annual Research Report
高血糖によるシクロオキシゲナーゼ2活性化機序とその制御による新規合併症治療法開発
Project/Area Number |
14571100
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Research Institution | KUMAMOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西川 武志 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (70336212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮村 信博 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40274716)
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Keywords | 糖尿病 / 糖尿病性腎症 / 糸球体過剰濾過 / ミトコンドリア / 酸化ストレス / 活性酸素 / シクロオキシゲナーゼ2 / NFκB |
Research Abstract |
糸球体過剰濾過は糖尿病性腎症初期の病態であり、糖尿病性腎症発症のキーステップである。昨年度は、メサンギウム細胞において高グルコース培養はミトコンドリア由来活性酸素(mtROS)産生増加、シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)mRNA・蛋白発現増加、プロスタグランジン(PG)E_2の産生増加を引き起こすことを確認した。本年度はmtROS産生によるCOX-2発現誘導機序を明らかにすること、さらに実際にin vivoでのCOX-2発現誘導を確認することを目的として、以下の(1)〜(3)を行った。 (1)ルシフェラーゼを用いたリポーターアッセイにて高グルコース培養およびmtROSのCOX-2遺伝転写活性への影響を検討した。高グルコース培養によりCOX-2遺伝子転写活性はコントロールに比し4倍の上昇を認めたが、MnSOD、UCP-1過剰発現細胞では活性上昇は認めなかった。 (2)COX-2遺伝子プロモーター上の2つのNFκB結合領域に変異を導入し、転写活性への影響を検討した。変異導入により、高グルコース培養によるNFκB活性化は半減し、さらに2箇所同時の変異導入はNFκB活性化を完全に抑制した。 (3)ストレプトゾトシン誘導糖尿病マウスを作成し、腎糸球体でのCOX-2 mRNA・蛋白を定量的RT-PCR法、ウエスタンブロット法および免疫染色法にて検討した。マウス腎糸球体において糖尿病マウスでは正常血糖対照マウスに比しCOX-2 mRNA・蛋白の発現増加が確認され、さらに、免疫組織染色でも糖尿病マウス腎組織においてはメサンギウム領域にCOX-2蛋白の発現増加を認めた。 結論として、糖尿病ではmtROS産生によるNFκB活性化を介してCOX-2発現誘導が引き起こされていること、また糖尿病マウスにおいてメサンギウム領域にCOX-2発現誘導が生じていることが確認された。本研究成果は糖尿病性腎症発症におけるmtROS、COX-2の意義を示すものであり、糖尿病性腎症の発症阻止、予防、治療法の開発に貢献することが期待される。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kiritoshi S, Nishikawa T, Sonoda K et al.: "Reactive oxygen species from mitochondria induce cyclooxygenase-2 gene expression in human mesangial cells : potential role in diabetic nephropathy"Diabetes. 52. 2570-2577 (2003)
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[Publications] 西川武志, 切通伸介, 園田和洋, 久木留大介, 荒木栄一: "ミトコンドリア由来スーパーオキサイド産生と合併症"内分泌・糖尿病科. 16. 297-304 (2003)
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[Publications] 西川武志, 園田和洋, 久木留大介, 荒木栄一: "酸化ストレスと糖尿病合併症"現代医療. 35. 65-71 (2003)
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[Publications] 西川武志, 切通伸介, 園田和洋, 久木留大介, 井本光次郎, 荒木栄一: "抗酸化剤による糖尿病性神経障害の治療"内分泌・糖尿病科. 17. 268-278 (2003)
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[Publications] 荒木栄一, 西川武志: "細胞内酸化ストレスと糖尿病性合併症"プラクティス. 20. 9-11 (2003)