2002 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌の発生および増殖における内分泌かく乱物質の影響
Project/Area Number |
14571122
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鯉淵 幸生 群馬大学, 医学部, 助手 (10323346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鯉淵 典之 群馬大学, 医学部, 教授 (80234681)
堀口 淳 群馬大学, 医学部, 助手 (70272242)
飯野 佑一 群馬大学, 医学部, 教授 (50124649)
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Keywords | PCB / SXR / SMRT / corepressor |
Research Abstract |
ポリ塩化ビフェニル(PCB)、ビスフェノールA等の内分泌かく乱物質の作用の多くは脂溶性が高く、また、ステロイドホルモン、甲状腺ホルモン等の低分子脂溶性ホルモンと類似の化学的構造を有している。本研究の目的は、乳癌発症における内分泌撹乱物質の関与を調べる事である。 その第一段階として、本年は、核内受容体を介する遺伝子発現におよぼす内分泌撹乱物質の作用をまず解析した。そして非常に低用量のPCBが甲状腺ホルモン受容体を介する転写反応を抑制する事を確認した。この作用には細胞特異性が見られた。また、転写に及ぼす影響はグルココルチコイド受容体では確認できなかった。エストロゲン受容体に対する作用は既に報告があり、PCBの作用には受容体に対する選択性がある事が分かった。 一方、本研究申請以前に我々はオーファン核内受容体であるSXRに、タモキシフェンを始めとする多くの脂溶性物質が結合する事を確認していた。SXRは乳癌細胞にも発現しており、薬物代謝に関与するcytochrome P450 (CYP) 3A4の活性化に関与する事が知られている。本年はこのメカニズムをさらに解析した。特に、転写が抑制される際に作用するco-repressorとSXRとの結合について調べた。その結果、N-CoRとSMRTという二つのco-repressorのうち、SMRTが選択的にSXRと結合している事が分かった。また、条件によってはリガンドを加える事によりco-repressorとの結合が増加するという興味ある結果を得られた。今後乳癌細胞を用いてSXRによる転写調節機構と薬物代謝の関係について解析を進め、内分泌かく乱物質や治療目的で投与した薬物が乳癌の発症や進行にどのように関与しているのか解析したい。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 鯉淵典之, 神宮久香, 太田美佐江, 岩崎俊晴: "甲状腺ホルモンの発達期中枢神経系に及ぼす作用-げっ歯類小脳を用いた解析"ホルモンと臨床. 50. 1-7 (2002)
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[Publications] 鯉淵典之: "甲状腺ホルモンの作用と遺伝子発現機構"科学技術振興事業団戦略的創造研究推進事業 領域シンポジウム要旨集. 2. 43-48 (2002)
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[Publications] 飯野佑一, 鯉淵幸生, 吉田 崇: "目で見る性ホルモン依存性疾患の診断と治療-乳癌-"Hormone frontier in gynecology. 9. 318-321 (2002)
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[Publications] Takeshita A, Taguchi M, Koibuchi N, Ozawa YP: "Putative role of the orphan receptor SXR in the mechanism of CYP3A4 inhibition by xenobiotics"J Biol Chem. 277. 32453-32458 (2002)
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[Publications] Iwasaki T, Miyazaki W, Takeshita A, Kuroda Y, Koibuchi N: "Polychlorinated biphenyls (PCBs) suppress thyroid hormone-induced transactivation"Biochem Biophys Res Commun. 299. 384-388 (2002)
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[Publications] Koibuchi N: "Thyroid hormone and cerebellar development"The Cerebellum and its disorders, Cambridge University Press, Cambridge, Manto M, Pandolfo M (eds). 305-315 (2002)
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[Publications] Koibuchi N: "Neuroplasticity, Development, and Steroid Hormone Action. Molecular mechanisms of thyroid hormone action in brain development"CRC Press. Handa R, Hayashi S, Terasawa E and Kawata M (eds). 45-58 (2002)