2003 Fiscal Year Annual Research Report
基底膜コラーゲン由来の新規抗がん剤、エンドスタチンの発現制御と作用機構の解明
Project/Area Number |
14571130
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山口 典子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (90251553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 久枝 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (80014190)
青柳 傑 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40134704)
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Keywords | がん / 血管新生 / エンドスタチン / コラーゲン |
Research Abstract |
エンドスタチンは基底膜を構成するXVIII型コラーゲンのカルボキシ末端に由来する分子量約2万の蛋白質であり、強力な血管新生阻害作用を有することから内因性で毒性の無い抗がん剤として臨床試験が進行中である。一方、血管新生阻害剤はがんのみならず、糖尿病性網膜症や乾癬、リウマチなど他の疾患への適用も考えられることから、関節リウマチの動物モデルにおけるエンドスタチンの効果を評価した。昨年度は免疫不全マウスにヒト関節リウマチ組織を移植してエンドスタチンを局所に投与し、関節炎組織の増殖がエンドスタチンにより抑制されることを報告した。本年度は汎用されているコラーゲン誘導性マウス関節炎を用いてエンドスタチンの効果を評価した。関節炎は四肢に発症するため、エンドスタチンの投与を全身的に行なったことから10mg/kgという高用量を要したが、明らかに関節炎の発症率と炎症の進行を抑制する効果が観察された。またエンドスタチンの作用機構を明らかにする目的で本研究を継続しているが、新たにエンドスタチンがMMP(Matrix Metallo Proteinase)、特に変性コラーゲンであるゼラチンを分解するMMP-2,MMP-9と細胞膜に発現するMT1-MMP(MMP-14)の酵素活性を阻害する作用を見出した。これらの酵素は種々の報告からがんの転移と密接に関連していると考えられており、特にMT1-MMPはがん細胞の膜表面に発現が高いことからがん細胞の遊走能を左右しているとされる。従ってエンドスタチンの血管新生阻害作用、抗がん作用の一翼をMMP阻害活性が担っていると推察され、おそらくエンドスタチンはマルチポテンシャルな機能を有することにより強力な血管新生阻害活性を発現出来るものと考えられた。
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[Publications] 山口 典子: "XVIII型コラーゲンの機能と遺伝子異常症"細胞(The Cell). 35. 136-139 (2003)
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[Publications] Kurosaka D.: "Arthritis-inhibiting effect of systemic administration of endostatin in passive murine collagen-induced arthritis."Ann.Rheum.. 62. 677-679 (2003)