2002 Fiscal Year Annual Research Report
新しい血行性骨髄移植モデルの確立:骨髄幹細胞による免疫寛容誘導・維持機構の解明
Project/Area Number |
14571132
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 英年 浜松医科大学, 医学部, 助手 (70242758)
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Keywords | 血行性骨髄移植 / 免疫寛容 / 組織特異性 / キメリズム / 幹細胞移植 |
Research Abstract |
【平成14年度】研究目的はラットを用い臓器移植片としでの新しい血行性骨髄移植モデルを完成すること。さらに,そのモデルを用いて骨髄幹細胞と組織・臓器特異性との関連性という論点を踏まえ,免疫寛容誘導・維持機構を解明することである。1.血行性骨髄移植モデルの完成:大腿胃に直接流入する栄養血管と骨膜への血管を残し,他の皮膚・筋組織等を除去することにより移植片の摘出に成功し,それを宿主腹大動脈・下大静脈へ顕微鏡下血管縫合にて新しいモデルが完成した。2.雄性BN(RT1^n)移植片は3週間以内に同種異系雌性Lewis(Rr1^1)によって拒絶されたが,短期tacrolimusでの免疫抑制によりBN(RT1^n)移植片はGVH反応なしにLewis(RT1^1)に受容された。3.キメラ状態の解析(1)PCR : Y染色体上の性決定領域特異的プライマー(SRY)を用いてマイクロキメリズムを解析したところ,同種同系・同種異系(短期免疫抑制)では,移植直後より末梢血リンパ球中に雄性ドナー細胞を確認できた。(2)フローサイトメトリー:同種異系(短期免疫抑制)では,ドナーClass I細胞を染めるOX27mAbにて,移植後100日以降も約10〜20%のドナー細胞の安定したキメラ状態が,末血リンパ球,脾臓,腸間膜根リンパ節細胞,宿主骨髄細胞中に確認できた。3.免疫寛容状態の確認:一時的に骨髄移植片を生着した宿主は,ドナー特異的二次的心臓移植片を受容し,ドナー特異的免疫学的不応答の状態を確認できた。4.骨髄細胞と組織特異性の関連性:二次的皮膚移植片を拒絶した宿主ではドナー細胞キメラ状態の低下が観察された。 【今後の研究の展開】血行性骨髄移植後予想以上のキメラ状態が確認され,幹細胞移植モデルとして肝臓などの網様組織や中枢神経系への分布状態の解析を新たな方向性として研究を進める。
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