2002 Fiscal Year Annual Research Report
CYP酵素活性からみた臓器移植後の免疫抑制剤投与法の開発
Project/Area Number |
14571157
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
星野 健 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (70190197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 稔 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50197513)
森川 康英 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (90124958)
森田 邦彦 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80327717)
下島 直樹 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30317151)
渡辺 稔彦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50306734)
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Keywords | 肝臓移植 / CYP3A4 / 6β-水酸化コルチゾール / 内因性コルチゾール / サイクロスポリン / 生体肝移植 / 6β-OHF / F比 |
Research Abstract |
生体肝移植術後の肝機能およびCYP3A活性の推移を経日的に追跡するとともに、シクロスポリン(CyA)の体内動態との関係を解析した。 【方法】胆道閉鎖症により生体肝移植術が実施された小児患者4例(生後6〜11ヶ月)を対象とした。内因性コルチゾール(F)、6β-水酸化コルチゾール(6β-OHF)、およびこれらの尿中濃度比(6β-OHF/F比)をCYP3A活性のマーカーとして用い、前者はFPIA法で、後者はELISA法でそれぞれ測定した。各症例の術後CyA血中濃度、血液生化学データと前記の測定結果との相関について検討した。 【結果】対象4症例の肝機能の指標としたGOT値は、移植術後早期(術後2週間)は大きく変動し高水準を推移したのに対して、その後2〜3週間目には比較的低値となり安定した状態を呈した。この間の尿中6β-OHF/F比は、概ね術後1週間は極めて低値(平均値±SE:3.2±1.8)であったが、その後2〜3週間目にかけて次第に上昇する傾向(同:10.4±8.0)にあり、GOT値と6β-OHF/F比との間には有意な負の相関性(r=0.606)が認められた。このうちの1症例について6β-OHF/F比とCyAの血中濃度/用量比(L/D比)との関係を解析した結果、尿中6β-OHF/F比が低値であった術後早期にはL/D比に経日的な上昇が、その後6β-OHF/F比が高まるにつれL/D比に下降が、それぞれ認められた。 【考察】肝移植術後に見られたGOT値および6β-OHF/F比の経過より、肝機能が不安定な術後早期にはCYP3Aの活性は低く、その後肝機能が安定するにともないCYP3A活性は正常化することが示唆された。この移植片の生着過程での肝機能とCYP3A活性の変動は同期間中のCyAクリアランスに影響するものと考えられた。
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