2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルペスウイルス潜伏感染の機序と移植後の再活性化に関する基礎的検討
Project/Area Number |
14571159
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田中 和生 東海大学, 医学部, 助教授 (50236569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤村 貞昭 東海大学, 医学部, 助手 (80056241)
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Keywords | サイトムガロウイルス / 感染免疫 / メモリーT細胞 / 無菌マウス / 常在細菌叢 / リポ多糖 / CpGモチーフ |
Research Abstract |
平成14年度の実験結果にて、我々はCMV感染マウスの肺ではウイルスが排除された感染3ヶ月以降でも長期(観察機関:感染後1年間)にわたりCMV特異的T細胞(CMVのIE抗原に対するMHC/tetramerにて検出)CD8陽性、IFN-γ産生細胞が肺に大量(全リンパ球の約10%)存在することを観察した。そこで、平成15年度はこの細胞のcharacteri-zation、及びこの細胞の維持機構について実験を行い以下の結果を得た。 1.このCMV特異的T細胞CD8陽性細胞は肺(非リンパ組織)に存在し、かつ活性化マーカーであるCD69が陽性であったので、Effector memory T細胞であると考えた。しかし、CMV-IE非特異的CD8細胞はCD69は陰性であった。2.この時のCMV抗原の有無をリアルタイムPCR、in situ PCR、in situ hybridization,免疫組織化学(抗IE抗体、抗E抗体)を用いて調べた。しかし、いずれの方法においてもウイルスゲノム、ウイルス蛋白は検出できなかった。従って、我々の実験系ではEffector memory T細胞は抗原非存在下でも維持可能であると考えた。 3.Memory T細胞の維持機構として現在考えられているのは以下の3つがある(K.S.Schluns et al.Nature Rev Vol. 3,p.269,2003)。 (1)Recall antigen:当該微生物の再感染 (2)Cross antigen:常在細菌がもつ抗原が当談抗原と交叉する (3)Bysstader proliferation:リポ多糖(LpS)や細菌DNAのCpGモチーフによる 本研究では(1)の可能性はない。そこで(2)あるいは(3)の可能性を考えた。この2つの可能性はいずれも常在細菌がメモリーT細胞の維持に関与していることを示している。そこで我々は常在細菌叢を欠く無菌マウスを作成し、メモリーT細胞の割合を調べた。その結果感染3ヶ月のSPFマウス、無菌マウスでのCMV特異的CD8陽性細胞の割合はそれぞれ5.5±1.9%,0.9±0.1%であり,GFマウスではメモリーT細胞は検出出来なかった。GFマウスでメモリーT細胞が検出出来なかったことから,SPFマウス,GFマウスのcytokine environmentを比較するこにより,メモリーT細胞の維持に必要なサイトカイン(IL-15)を同定した。
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[Publications] A, Ushiyama, K.Tanaka et al.: "Lactobacillus gasseri OLL2716 as a probiotics in clarithromycin-resistantl Helicobacter pylori infection"J.Gastroenterol.Hepatol.. 18. 986-991 (2003)
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[Publications] K.Tanaka: "Immunosuppressive agents and Cytomegalovirus infection"Archi.Immunol.Ther.Exp.. 51. 179-184 (2003)
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[Publications] K.Tanaka, H.Ishikawa: "Role of intestinal bacterial flora in oral tolerance induction"Histol.Histopathol. 14. 907-914 (2004)
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[Publications] 石川裕樹, 田中和生 他: "経口トレランスの成立と腸内細菌"臨床免疫. 印刷中.
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[Publications] 田中和生(分担): "医学大辞典(第18版)"南山堂(印刷中).