2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト分離胆道上皮細胞の胆管様管腔構造再生に及ぼす環境因子と人工胆道の開発について
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14571160
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
石田 祐一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30260946)
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Keywords | 人工胆道 / 胆道上皮細胞 / 胆管再生 |
Research Abstract |
(目的)ヒト正常肝臓から分離培養した正常肝細胞と胆道上皮細胞(BEC)をコラーゲン複層ゲル内で共培養するとBECが3次元の管腔様構造を形成するが、肝細胞の形態学的崩壊のため長期的な胆管再生の観察は困難であった。ヒト肝腫瘍由来有機能肝細胞株(FLC4)は、数ヵ月という長期間にわたり良好な培養が可能なためBECと共培養することで、胆管再生の長期的な観察が可能か検討した。またコントロールとして正常ヒト肝細胞株(NKNT-3)を用いた。 (方法)1.コラーゲン複層ゲルの間にFLC4またはNKNT-3を5X10^5個とBECを共培養し経時的に位相差顕微鏡で形態学的変化を観察した。2.第1層目のコラーゲン・ゲルの上にFLC4またはNKNT-3株を5X10^5個蒔き、その上層にコラーゲン・ゲルの薄層を敷いた。この薄層上にBECを蒔き、経時的に位相差顕微鏡で形態学的観察をした。 (結果)1.NKNT-3株は培養7日目にはviabilityが著しく低下した。FLC4とBECとの共培養では、BECによる3次元の管腔様構造は観察されなかった。しかし培養7日目頃からBECは束状に集積し徐々に厚みを増すと同時にFLC4を圧排した。さらにBECの塊同士は細い突起を出して互いに連結していった。2.NKNT-3株またはFLC細胞がコラーゲン薄層を介し近接した状態でのBECの再生の過程を経時的に観察したが、BECを単独で培養した場合と形態的学に差は無かった。 (考察)FLC4とBECを共培養しても、BECの3次元胆管様管腔構造は観察されなかった。しかし培養7日目以降BECが束状に塊を形成し、その塊同士が細い脚を出して癒合していく様子は新たな様式での胆管の再生を想起させた。間葉系細胞は比較的拒絶反応の問題も少ないといわれるが、今後もBECとの共培養系を作成して胆管の再生の可能性について検討していきたい。
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