2002 Fiscal Year Annual Research Report
リコンビナントbFGFと線維状アテロコラーゲンの足場による血管新生と組織再構
Project/Area Number |
14571161
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
楠元 雅子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90075284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨澤 康子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00159047)
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Keywords | bFGF / アテロコラーゲン / 足場 / 血管新生 / 組織再構築 / リコンビナント / 組織治癒 / 血管芽 |
Research Abstract |
種々の因子を用いた血管新生研究が行われてきたが、血管新生の過程を証明することは難しく、その過程を直接観察できたことは希である。また、大多数の研究は単独で因子を使用したり、他の因子を無視して用いたために得られた血管新生の効果が少なかった可能性がある。創傷治癒を促進することを目的に市販されているリコンビナントbFGF(r-bFGF)は褥創の治療に臨床にて使用されている。本年度は創傷治癒に伴った血管新生に対するr-bFGFの影響を動物実験にて観察した。Rabbit ear chamber(REC)モデルを用いたがパンチアウトした傷にr-bFGFを手術時に1回散布した。対照に比べて、感染が少なく、血管新生が速やかであることを観察した。また、アテロコラーゲンを紡糸し、線維状にしたものをREC内に留置し、足場(scaffold)の存在による血管新生の過程を観察したところ、マクロでは血管新生は対照に比べて速やかで、出血が少なく、良好に治癒するのが観察された。さらにミクロでは多数の拍動する血管芽が線維状のコラーゲンを垂直に横切っているのが観察された。手術時に投与されるr-bFGFは、内因性サイトカインが活性化されるまでを補い、創傷治癒の促進に役に立つ可能性が示唆された。現在、r-bFGFと足場の相乗効果についての検討を行っている。組織再構築は、第一に組織適合性が良好でなければ起こらず、今回得られた実験結果から、両者を併用することにより組織再構築に役に大いに立つことが期待される。
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[Publications] 冨澤康子 他: "血管新生の速度;創傷治癒において血管新生を促進する条件"日本冠疾患学会雑誌. 8. 38-40 (2002)
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[Publications] Tomizawa Y. et al.: "Macroscopic sequential pictures of angiogenesis in a rabbit ear chamber"J Invest Surg. 15. 269-274 (2002)
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[Publications] 冨澤康子 他: "コラーゲン製止血材の生体顕微鏡による評価:組織親和性および吸収性"日本心臓血管外科学会雑誌. 32. 17-22 (2003)