2003 Fiscal Year Annual Research Report
ラット胃発癌におけるアラキドン酸代謝酵素の関与と阻害剤による化学予防
Project/Area Number |
14571183
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤村 隆 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (50262580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 晃一 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (80019968)
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Keywords | ラット胃発癌モデル / 十二指腸胃逆流 / cyclooxygenase 2 / 選択的COX2阻害剤 / 癌の化学予防 |
Research Abstract |
ラットに十二指腸液の胃への逆流による胃発癌モデルを作成して、胃の粘膜におけるcyclooxygenase 2(COX2)の発現と選択的COX2阻害剤の発癌抑制効果とを観察することを目的とした。 対象は7週齢のF334雄性ラットを用いて、エーテル麻酔下に十二指腸胃逆流モデルを作成した。すなわち、空腸を起始部から約1cmの部位で結紮切断し、肛門側空腸端を腺胃の大弯側に吻合した。今回、COX2阻害剤として、meloxicam(日本ベーリンガーインゲルハイム社)を使用し、通常の飼料に混餌投与した。なお発癌剤はいっさい投与していない。実験群は以下の4群を設定した。 I、手術単独群 術後meloxicamは投与せず、通常の飼料を術後50週目まで投与する。 II、Meloxicam低用量群 術後2週目よりmeloxicamを0.5mg/kgの濃度で開始し、術後50週目まで投与する。 III、Meloxicam高用量群 術後2週目よりmeloxicamを2.0mg/kgの濃度で開始し、術後50週目まで投与する。 IV、非手術群 手術を行わずにmeloxicamを2.0mg/kgの濃度で開始し、48週目まで投与する。 I群、III群の20,40,50週目のラットをそれぞれ、I群は7,6,10頭、III群は7,6,4頭を屠殺して、病理組織学的検討を行った。前癌病変とされるgastritis cystica profundaの20,40,50週目における発生率はI群の86%,83%,70%に比較して、III群では57%,67%,50%と低率であった。また癌の20,40,50週目における発生率はI群の癌の0%,0%,30%に比較して、III群では全期間0%と発生は認められなかった。 Meloxicamはラットの十二指腸胃逆流モデルにおいて、GCP及び胃癌の発生を抑制していることが示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Fujimura T, Miwa K, et al.: "A new scoring system for peritoneal metastasis in gastric cancer"Gastric Cancer. 6・3. 146-152 (2003)
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[Publications] 藤村 隆, 西村 元一, 三輪 晃一: "家族性大腸ポリポーシス患者へのCOX-2阻害薬の効果"Medical Science Digest. 29・1. 28-31 (2003)
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[Publications] Miwa K, Kinami S, Fujimura T et al.: "Mapping sentinel nodes in patients with early stage gastric carcinoma"Br J Surgery. 90・2. 178-182 (2003)
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[Publications] 二宮 致, 藤村 隆, 三輪 晃一, 他: "癌転移阻止に関する研究 癌転移を抑制する薬剤 Capecitabine"日本臨牀. 61・8. 193-196 (2003)
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[Publications] 三輪 晃一, 宮下 知治, 寺田逸郎, 木南 伸一, 伏田 幸夫, 藤村 隆: "胃癌リンパ区域郭清術"手術. 57・13. 1633-1637 (2003)
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[Publications] 三輪 晃一, 藤村 隆: "空腸pouchを用いた胃全摘後の再建術"外科治療. 88・suppl. 193-198 (2003)
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[Publications] 三輪 晃一, 平山廉三: "胃癌診療の基本"中山書店. 259 (2003)