2003 Fiscal Year Annual Research Report
金属磁性体高周波誘導加熱による肝癌熱凝固壊死療法の開発
Project/Area Number |
14571203
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡部 祐司 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (20210958)
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Keywords | 誘導加熱 / フェライト / ターゲッティング |
Research Abstract |
(1)高周波電源、整合器 高周波電源については我々は技術的に確立しているため、5kWまでの出力を安定的に供給することができる。本研究開発で製作した装置の場合、10〜400kHzの周波数帯域において発振可能であり、最大出力が5KWの性能を有する。整合器は水冷の導入により諸問題を解決した。即ち、「水冷」と「インダクタンス可変」という要求を満たすためバネのように伸縮するコイルを開発した。 (2)生体適合性のある加熱材料 長期間の生体内留置に関連して、粉末材料の安定性は考慮すべき問題であり、短期に酸化あるいは還元され他の化合物へと変化されるものは不適である。MFe_2O_4タイプ(M=金属元素)の代表的なフェライト4種類を選んで発熱特性を定性的に調べた。マグネタイト、マグネシウムフェライト、ニッケルフェライトおよび銅フェライト(M=Fe、Mg、Ni、Cu)である。これらフェライトの中でMgフェライトが非常に優れた材料であることが明らかになった。約380Khz辺りでMgフェライトは最も高い温度上昇を示し、約5分で80℃となった。また酸化せず生体内でも安定しており、生体適合性も最も高いと考えられた。 (3)カテーテルにより腫瘍近傍まで運び、選択的に取り込ませるためにフェライトをリポソームに包埋する技術を確立した。これにより、安定したDDSが確立し、今後リポソームの修飾(荷電、抗体結合など)によりターゲッティングが完成すると考えられた。 (4)ラット腫瘍モデルで、腫瘍内に留置したリポソーム包埋磁性体に対する誘導加熱により腫瘍の100%近い壊死を認めたが、腫瘍以外の磁性体集積のない部位への熱損傷などの副作用は認めず、きわめて安全かつ強力な選択的腫瘍治療となりうると考えられた。
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