2002 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的胆汁酸合成制御機構は腸肝循環遮断時の胆汁酸合成を説明しうるか?
Project/Area Number |
14571208
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
黒木 祥司 九州大学, 医学部附属病院, 講師 (30215090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能城 浩和 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (90301340)
清水 周次 九州大学, 医学部附属病院, 助教授 (70274454)
千々岩 一男 宮崎医科大学, 附属病院, 教授 (90179945)
大島 章 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (70335959)
中野 賢二 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (00315061)
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Keywords | 胆汁酸合成 / 調節機構 / コレステロール7α水酸化酵素 / 胆汁酸代謝 / 腸管因子 / ラット |
Research Abstract |
【目的】最近、分子生物学的手法により、肝細胞核内オーファンレセプターFXRのリガンドがケノデオキシコール酸であり、FXRとケノデオキシコール酸が結合することにより胆汁酸合成律速酵素であるコレステロール7α水酸化酵素をコードするDNAからmRNAへの転写が抑制されることが示されたが、FXRのみで従来の胆汁酸合成制御機構の全てを説明することは困難である。本研究では胆汁外瘻ラットを用いて、胆汁酸の静脈内あるいは門脈内投与が胆汁酸合成を抑制するかどうかを再確認し、腸肝循環する胆汁酸による胆汁酸合成の調節という命題が分子レベル調節機構で説明可能か否かを検討した。 【方法】ラットに胆汁外瘻を作成し、十二指腸内にチューブを挿入して電解質液を注入し、時間毎に胆汁を採取、時間毎の胆汁酸排泄量を測定し、胆汁酸合成茄最大値に達してプラトーとなるタイミングを調べた。ついで、設定した実験条件下で、タウロコール酸を十二指腸内、静脈内、および門脈内に投与し、電解質液のみ投与する対照群と比較した。各群とも48時間後に再度麻酔下に開腹し、血液、肝組織を採取、肝7α水酸化酵素活性、肝7α水酸化酵素mRNA、胆汁中胆汁酸排泄量を測定した。 【結果】胆汁外瘻を行うと、胆汁中胆汁酸排泄量は速やかに減少して約12時間後に最低値を取り、その後次第に増加して、約36時間後にはプラトーに達した。この結果をもとに胆汁酸投与時間を48時間に設定した。胆汁外瘻のみを行うと、コレステロール7α水酸化酵素活性は8.9±0.9pmol/min/mg proteinから49.1±4.7へと約5.5倍に増加し、mRNAの発現も増加した。十二指腸内にタウロコール酸を6μmol/hr/100g体重で投与したところ、肝コレステロール7α水酸化酵素活性は22.9±6.1と有意に抑制された。酵素活性は静脈内投与では29.2±8.0、門脈内投与では24.5±5.0と十二指腸丙投与とほぼ同じレベルであった。 【考察】まだデータが全て揃っておらず、実験を継続中ではあるが、現在までに得られたデータでは、肝コレステロール7α水酸化酵素mRNAおよび酵素活性は、十二指腸、静脈内、門脈内への胆汁酸の投与により抑制されると考えられる。 【現況】平成15年度も実験を継続してデータを収集し、統計学的検討を行った後、英文論文として投稿予定である。
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