2003 Fiscal Year Annual Research Report
フラボノイドを用いた胃癌腹膜播種に対する新しい治療法の確立
Project/Area Number |
14571224
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大谷 吉秀 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (20168983)
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Keywords | 胃癌 / 転移 / 腹膜播種 / フラボノイド / マトリックス分解酵素 / ノビレチン / MTT assay / G1 block |
Research Abstract |
【目的】胃癌腹膜播種陽性例の1年生存率は20%以下である。また、腹膜再発は再発形式の中でも頻度が高く、その予後は極めて不良であるものの、有効な治療手段が確立されていないのが現状である。癌が浸潤・転移する際の主病巣周囲の細胞外マトリックスの破壊は重要なステップであり、我々はこの点に着目し、これまでヒト消化器癌、頭頚部癌、肝臓癌組織中のマトリックス分解酵素(matrix metallopoteinase:MMP)が癌の生物学的悪性度と密接な関連があることを明らかにしてきた。MMPの活性阻害が、腫瘍の進展阻止につながると推測され、本研究を計画した。【方法と結果】本研究に用いたノビレチンは、沖縄産柑橘系植物であるシークワーサーから抽出されるフラボノイドでMMP-9の発現を特異的に抑制することが知られている。また、フラボノイドには、さらにいくつかの生物活性が認められていることから、増殖抑制効果、細胞周期への影響、既存の抗癌剤との併用効果などについても併せて検証した。まず、ノビレチンの転移抑制効果をTMK-1(1x10^6個)をSCIDマウス腹腔内に投与する腹膜播種モデルを作成して検討した。その結果、ノビレチン投与群ではコントロール群に比べ、腹膜播種結節の形成が有意に抑制された。ヒト胃癌細胞株TMK-1,MKN-45,MKN-74,KATO-IIIに対するノビレチンの増殖抑制効果をMTT assayを用いて検討したところ、どの株においても増殖抑制を示した。細胞周期に対する影響についてはFlow cytometry法を用いたDNA histogramにより検討したところ、TMK-1の培養液にノビレチン添加後24時間でG1 blockを認めた。ノビレチンと既存の抗癌剤であるシスプラチンとの併用効果を投与のタイミングを変えて検討したところ、ノビレチン添加後、24時間で培養液を交換しシスプラチンを添加する群で最も強力な抑制効果(相乗効果)を認めた。【結論】ノビレチンは直接の細胞増殖抑制効果のみならず、MMP-9産生阻害を介してヒト胃癌株の腹膜播種形成を抑制することが示された。さらに、既存の抗癌剤との併用により、相乗効果を示すことが明らかになり、フラボノイドの胃癌治療への応用の可能性が示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Saikawa Y, Otani Y, et al.: "Preoperative combination chemotherapy with S-1 and low dose cisplatin against highly advanced gastric carcinoma"Oncol Reports. 10. 381-386 (2003)
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[Publications] Egawa T, Otani Y, et al.: "Antitumor activity of doxorubicin in combination with docetaxel against human breast cancer xenografts"In Vivo. 17. 23-38 (2003)
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[Publications] Saikawa Y, Otani Y, et al.: "Alteration of DNA methylation status induced by epidermal growth factor in gastric cancer cell line, MKN-74"Anticancer Res. 23. 143-148 (2003)
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[Publications] Suganuma K, Otani Y, et al.: "Possible chemoresistance-related genes for gastric cancer detected by cDNA microarray"Cancer Sci. 94・4. 355-359 (2003)
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[Publications] Yamashita T, Otani Y, et al.: "The inhibitory effect of matrix metalloproteinase inhibitor ONO-4817 on lymph node metastasis in tongue carcinoma"Anticancer Research. 23. 2297-2303 (2003)
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[Publications] Wada N, Otani Y, et al.: "Reduced angiogenesis in peritoneal dissemination of gastric cancer through gelatinase inhibition"Clinical and Experimental Metastasis. 20. 431-435 (2003)