2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14571243
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
上山 泰男 関西医科大学, 医学部, 教授 (90127069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
權 雅憲 関西医科大学, 医学部, 助教授 (70225605)
海堀 昌樹 関西医科大学, 医学部, 助手 (30333199)
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Keywords | 肝移植 / 肝細胞 / ミコフェノール酸モフェチル / iNOS誘導 |
Research Abstract |
[目的] 肝移植後の免疫拒絶反応と血中の一酸化窒素(NO)代謝物の増加との相関を示唆するデータが報告されている。ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil : MMF)は、臓器移植における拒絶反応抑制のための免疫抑制剤として臨床において使用されている。MMFは急性拒絶反応抑制のkey drugであるFK506やシクロスポリンAといったカルシニューリン・インヒビターと作用機序が異なることから、これら免疫抑制剤と併用されることが多い。これまでに我々は、FK506がシクロスポリンAと比較し、IL-1βによる肝細胞のiNos発現誘導をその転写因子NFκB活性化の段階にて阻害することが明らかとした。今回、肝細胞のNO産生誘導に対する免疫抑制剤MMFの効果、及びFK506とシクロスポリンAとの併用効果を比較検討する。 [方法] 1)IL-1βのiNOS誘導およびNO産生に対するMMFの効果を時間、濃度を変えて検討する。NO産生は細胞外に遊離するNOの代謝物NO_2^-をGriess法で測定する。iNSO蛋白質は細胞を可溶化し、SDS-PAGEで分離後iNOS抗体を用いてwestern blot解析する。 2)IL-1βによるiNOS mRNAの誘導とMMFによる影響をnorthen blot解析にて検討する。 3)1L-1βの刺激によるNF-κBの活性化(核への移行)をゲルシフトアッセイにて確認し、次にミコフェノール酸モフェチルによる影響を同アッセイにて検討する。 [結果] IL-1βの肝細胞培養液中NO産生に対するMMFの効果は培養2日目のIL-1β添加後8時間、またMMF濃度は50mMにてコントロールに対して約50%のNo産生抑制効果を示した。IL-1βによるiNos mRNAの誘導に対してMMFは培養液中NO産生に対する効果と同様、IL-1β添加後3、6時間目に有意な抑制効果を示した。NF-κBの活性化に対する効果に関しては未施行である。またその他の免疫抑制剤との併用効果に関しても未施行である。 [結論] まだ実験途中であるが、IL-1βのiNos誘導およびNO産生に対してMMFはその誘導を抑制する傾向にある。肝移植後の急性拒絶反応の際、血中一酸化窒素代謝物の増加が報告されており、このMMFが免疫抑制剤として作用し、間接的に血中一酸化窒素代謝物を低下させることと一致するのではないかと推測される。引き続き今後の検討を要するものと思われる。
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