2002 Fiscal Year Annual Research Report
腹部手術における侵襲刺激を中枢神経が認知する機構の解明
Project/Area Number |
14571247
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
石橋 生哉 久留米大学, 医学部, 助手 (90248427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 洋右 久留米大学, 医学部, 助手 (30320211)
貝原 淳 久留米大学, 医学部, 助手 (20204315)
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Keywords | 腹部手術 / 外科侵襲 / 中枢神経 / TNFα / 迷走神経 |
Research Abstract |
ラットにおける開腹モデルを用いて,侵襲刺激が如何なる経路で中枢にて認識されるかを解明する目的で,まず,迷走神経切離モデルと非切離モデルの比較検討を行った.また,開腹モデルとしては,これまで我々が報告してきた脳におけるサイトカインのmRNA levelでの産生が侵襲の違いと相関して動くことから,大開腹モデルと小開腹モデルを用いることによって,脳において侵襲レベルを認識していることをあらためて確認した.平成14年度の研究では,大切開モデルで迷走神経切離群と非切離群の間における比較で,脳におけるTNFaのmRNA発現が迷走神経を切離することによって軽減されることが判明した.また,迷走神経の切離は,末梢臓器である肝や小腸でのTNFaのmRNA発現には影響を与えないことが判明した.さらにタンパクレベルにおいても,脳におけるTNFaの発現をみると,ELISAでは感度以下で測定不能であったが,TNFa sensitiveな細胞株を用いることによって,その細胞株の細胞障害の状態をモニターすることによって脳内TNFaタンパク発現を見てみると,タンパクレベルでも明らかに迷走神経切離群は有意に非切離群よりTNFaの発現が抑制されていることが判明した.今後の課題としては,迷走神経切離による脳内TNFaの発現抑制効果が如何に全身の侵襲反応に対して影響を及ぼしているかを種々の侵襲反応のパラメーターを用いて確認し,また,侵襲反応にともなって起こるタンパク代謝の変動についても研究を進める.同時に,迷走神経が如何に脳内のサイトカイン産生と関わっているかを明らかにするため,電気刺激・局所麻酔薬・神経伝達物質の投与を行い,脳と迷走神経の腹部手術侵襲反応時における関わり合いについて明らかとしていきたい.
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