2004 Fiscal Year Annual Research Report
腹部手術における侵襲刺激を中枢神経が認知する機構の解明
Project/Area Number |
14571247
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
石橋 生哉 久留米大学, 医学部, 助手 (90248427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貝原 淳 久留米大学, 医学部, 助手 (20204315)
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Keywords | 脳内サイトカイン / TNFa / 迷走神経 / 侵襲反応 |
Research Abstract |
ラット開腹モデルを用いて,侵襲刺激が如何なる経路で中枢に認識されるかを,迷走神経切離モデルと非切離モデルを用いて比較検討を行い,迷走神経が中枢における侵襲反応の感知に如何に関与しているかを明らかにすることを目的として研究を行っている.平成14年までの結果として,開腹処置時の迷走神経切離が,開腹刺激によって惹起される脳内TNFaの発現を転写レベルとタンパクレベルで低下させることを明らかとした.平成15年度の研究としては,この迷走神経切離によってmodifyされた脳内サイトカインの発現が,生体における全身の侵襲反応に影響を及ぼすか否か検討するために,全身の侵襲反応の指標として血清コルチコステロンならびにACTHの濃度と尿中の残余窒素の排泄量を測定した.その結果,迷走神経切離を行った群では,開腹後に増加する血清コルチコステロン濃度が非切離群と比較して有意にその増加が抑制され,かっ,尿中の残余窒素排泄量も有意に減少していることが判明した.この結果は,迷走神経切離が脳内のサイトカイン発現に影響するのみならず,腹部侵襲が迷走神経を介して脳内へ伝わり,その伝導経路を遮断することによって全身の侵襲反応にも影響を及ぼしたという重要な知見であると考える.また,平成16年度に行った実験にて,末梢諸臓器におけるサイトカインの発現については,迷走神経切断モデルと非切断モデル間に有意差はなく,末梢における侵襲刺激が迷走神経を介して脳内のサイトカイン発現を制御し,侵襲反応をコントロールしている重要な知見であることが判明した.さらに神経伝達物質・電気刺激をもちいた迷走神経の関与の検討が他家によってなされており,われわれは局所麻酔剤を用いて迷走神経を介した中枢刺激の抑制を検討したが,局所麻酔剤での制御は不可能であった.以上のことから,迷走神経-脳内サイトカイン経路による腹部侵襲伝達経路が腹部侵襲時には重要な位置を占めると考えられると判断している.
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