2002 Fiscal Year Annual Research Report
虚血再灌流時の移植肺におけるERK上昇の機序とその意義についての検討
Project/Area Number |
14571268
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
先山 正二 徳島大学, 医学部, 助手 (60291986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 孝典 徳島大学, 医学部附属病院, 助手 (20346612)
近藤 和也 徳島大学, 医学部, 講師 (10263815)
門田 康正 徳島大学, 医学部, 助手 (60028628)
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Keywords | lung transplantation / rat / reperfusion / preservation / protein tyrosine phosphorylation / protein tyrosine kinase / protein tyrosine phosphatase |
Research Abstract |
1)肺保存を伴うラット同所性肺移植 ラット肺移植:近交系雄性Lewis(LEW, RT1^l)およびBrown Norway(BN, RTRT1^n)を用いて、左肺同所性移植(LEW to LEW, LEW to BN)を行った。ドナー肺はLow Potassium Dextran(LPD)solution(Perfedex)で潅流後,100%O_2にて摘出肺をinflateした状態でLPD solution中に4℃にて6時間保存した。その後,左肺移植を行った。 2)肺サンプルの採取 次の時点でサンプルを採取した。i)保存前,ii)保存終了時,iii)温阻血終了時(再潅流直前),iv)虚血再潅流2時間後。採取したサンプルは直ちに液体窒素にてsnap frozenとし,その後は-80℃で保存した。また組織の一部を用いて湿乾重量比を測定した。 3)血液ガス分析,気道内圧モニター 再潅流開始後2時間後まで気道内圧を経時的に測定。ドナーおよび移植後2時間後のレシピエントの左肺静脈より血液を採取し動脈血ガス分析を行った。 4)肺湿乾重量比の測定 肺組織の一部を用いて湿乾重量比を測定した。 5)Protein Tyrosine Phosphorylation 保存6時間後(CIT),温阻血30分(WIT)および再潅流開始後2時間(2hR)の時点での肺組織を用い,Western blottingによるprotein tyrosineリン酸化状態を検討した。加えてprotein tyrosine kinase(PTK)活性およびprotein tyrosine phosphatase(PTP)活性を測定した。 【結果】 移植後虚血再潅流2時間後の動脈血ガス分析の結果はisograft, allograftでそれぞれ438±14mmHgおよび434±9mmHgであった。湿乾重量比はisograft, allograftでそれぞれ5.7±0.4および5.8±0.3であった。虚血再潅流直後から2時間後までの気道内圧の変化はisograft, allograftで7±1mmHgから10±1mmHgおよび8±1mmHgから11±1mmHgであった。以上のことより,移植後2時間後の肺の状態は良好であり,またアロ抗原反応による影響は認められなかった。 移植後2時間後には,protein tyrosineリン酸化状態は著しい低下を示した。このPTP状態の低下はPTK活性の低下がPTP活性のそれよりも著しいことによるものと考えられた。
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