2003 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロサンプリング法を応用した小型肺腺癌の生化学・遺伝子的早期診断に関する研究
Project/Area Number |
14571279
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡辺 真純 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90201227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 紘一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80051704)
長谷川 直樹 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20198724)
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Keywords | 気管支鏡 / マイクロサンプリング法 / 肺癌 / 腫瘍マーカー / CEA / CYFRA |
Research Abstract |
【目的】肺野小型円形陰影の発見頻度が増加しているが、非手術的に確定診断を得ることは必ずしも容易でない。われわれは気管支鏡下に低侵襲で特定領域の気道内組織液(ELF)を採取できるマイクロサンプリング(MS)法を開発した。末梢型小型肺腺癌症例で腫瘍近傍のELF中腫瘍マーカーを測定し肺癌の補助診断となりうるかを検討した。 【方法】MSプローブは先端に吸湿性チップのついたカテーテルと外筒からなり気管支鏡チャンネルを通じて選択的にELFを採取できる。末梢肺癌症例に対してMSプローブを使用しx線透視下に腫瘍または近傍のELFを採取し腫瘍マーカー(CEA、CYFRA、SLX)を測定した。対照として、肺癌症例の対側肺、非癌症例肺のELF中腫瘍マーカーを測定した。また、肺癌症例の血中マーカーも測定した。 【結果】肺癌症例(n=16)の腫瘍径は8〜28mm、平均16mm。いずれも外科的切除により腺癌と診断された。従来の気管支鏡下生検、細胞診で肺癌と診断された症例は16例中7例(44%)であった。腫瘍周囲と反対側のCEAは20.5および1.9ng/ml、CYFRAは237.8および82.6ng/mlいずれも有意差を認めた。SLXは202および117U/mlであった。一方、非癌患者(n=15)における各マーカー値は2.5、5.1、77.8であった。腫瘍近傍ELFでのCEA、CYFRA濃度は対側、非癌患者より高かったが、血中CYFRA、SLXは正常範囲、CEAは8.4ng/mlと比較的低値であった。ROC解析ではCYFRA、CEAは左肩上がりの至適曲線を示した。摘出肺のCYFRA免疫染色では腫瘍本体は強陽性、腫瘍周囲で陽性、正常肺では陰性を呈する症例が認められた。 【結論】MS法は低侵襲であり、ELF中のマーカー特にCYFRA測定は末梢肺癌診断の補助となる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masazumi Watanabe et al.: "Contribution of bronchoscopic microsampling in the supplemental diagnosis of small periferal lung carcinoma"Ann Thorac Surg. 76. 1668-1673 (2003)
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[Publications] 石坂彰敏, 渡辺真純ほか: "マイクロサンプリングプローベによる肺上皮被覆液中液性因子の解析"気管支学. 24. 632-635 (2002)
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[Publications] 渡辺真純, 小林紘一ほか: "末梢型小型肺癌に対する新しい診断アプローチ-気管支鏡下マイクロサンプリング法-"肺癌の臨床. 4. 435-439 (2002)