2003 Fiscal Year Annual Research Report
悪性神経膠腫におけるデスレセプターを標的とした免疫細胞療法の基礎的研究と開発
Project/Area Number |
14571303
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Research Institution | KANAZAWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
立花 修 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (40211362)
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Keywords | 悪性神経膠腫 / 樹状細胞 / 細胞免疫療法 / グランザイムB / デスレセプター / デスファクター |
Research Abstract |
強力な抗原提示細胞である樹状細胞(DC)に腫瘍抗原を感作させ、このDCを患者頸部皮下に投与し、腫瘍特異的CD8(+)細胞障害性T細胞(CD8(+)CTL)を誘導する治療法を、悪性神経膠腫の患者に臨床応用を行い、免疫細胞療法の機序の検討をおこなった。神経膠芽腫9例、再発退形成星細胞腫1例、手術にて腫瘍摘出後に外照射を施行後、のべ50回のDC免疫細胞療法をおこなった。【結果】1)皮膚遅延型過敏性反応で陽性反応がみられた。2)パルスしたDCから誘導されたCTLは^<51>51Cr放出試験にて培養細胞に対する細胞障害活性を認めた。3)DC治療後には腫瘍細胞内にCD4(+)およびCD8(+)T細胞の浸潤を認めた。4)腫瘍浸潤CD8(+)T細胞は、FasLやTRAILには陰性であったが、granzyme Bに陽性を呈した。5)2例において著明な腫瘍の縮小を認めた。6)頸部リンパ節では鼠径リンパ節に比べて、多数のCD8(+)T細胞の出現がみられた。7)DC治療群の平均生存期間は499日であった。8)全例において、DC免疫細胞療法による悪性事象の出現はみられなかった。【考察】剖検例におけるリンパ節を詳細に検討した結果、脳内免疫を司るリンパ節は、頸部リンパ節であると考えられた。誘導されたCD8陽性T細胞がgranzyme Bを用いて、標的細胞を攻撃していることを形態学的に示した。悪性グリオーマにおける腫瘍免疫は、FasLやTRAILなどが注目されていたが、免疫系でこれらのリガンドが誘導されることは少ない。今回、はじめてDC免疫細胞療法で誘導される免疫系の大部分がgranzyme Bを用いた標的細胞攻撃であることをを示した。このことは、従来FasLやTRAILに対して、デコイ受容体を用いて、免疫系から回避してきたと考えられてきた悪性グリオーマに対して、有効な治療法となることを示唆する。
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