2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14571310
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三國 信啓 京都大学, 医学研究科, 助手 (60314217)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 昭夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (90212761)
天野 殖 京都大学, 医学研究科, 教授 (50111886)
|
Keywords | てんかん / 大脳皮質形成異常 / NMDA受容体 |
Research Abstract |
cortical dysplasiaにおけるてんかん原性獲得およびその異常放電発生にNMDA受容体が関与しているという仮定にたいして研究を施行している。本研究ではヒト摘出標本と動物モデルを使い,cortical dysplasiaにおけるてんかん原性とNMDA受容体発現との関連およびその機構を解明することを目的としている。1)放射線誘発rat cortical dysplasiaモデルは、てんかんを有するヒトcortical dysplasiaと同様に自発てんかん発作を有することを長時間ビデオ、脳波同時記録により証明した。経時的にけいれんratを灌流固定して組織学的検証をおこない,興奮系、抑制系チャンネル受容体とてんかん原性とに相関を認めた。興奮性の行動解析を行い、自然てんかん発作以外にも興奮性が生後維持されていることを明らかにした。2)ラット放射線誘発cortical dysplasiaモデルにおける経時的観察により、遅発性けいれん発作や海馬硬化、歯状回でのmossy fiber sproutingが生じることが明らかになった。海馬硬化とcortical dysplasiaの相関性やけいれん発作への関与について検討中である。3)cortical dysplasiaに伴うてんかん患者から摘出した,慢性硬膜下電極記録により決定されたてんかん原性脳皮質と,最少のてんかん性放電を認めるがてんかんの治療目的にて摘出した部位とを対象とし,その組織像,NR1,NR2それぞれの発現量およびその複合受容体チャンネルのサブユニット構造の変化を同一患者内で比較検討している。現在までに、てんかん原性を持つdysplastic cortexにNR1およびNR2A/Bの複合受容体が蛋白レベルで増加していることを明らかにした。今後症例を増やして統計学的考察をおこない、さらに抑制系伝達を含めて関連を明らかにする。当研究の結果はてんかん原性となるcortical dysplasiaの病態を理解する手がかりとなり,受容体競合抗体の抗てんかん薬開発等の新たな治療法の糸口ともなり得る。
|