2002 Fiscal Year Annual Research Report
実験的脳虚血負荷に対するアポリポ蛋白Eアイソフォーム特異性の比較検討
Project/Area Number |
14571329
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
森 隆 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (60239605)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 栄治 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90251256)
浅野 孝雄 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70090496)
|
Keywords | アポリポプロテインE / 急性期脳虚血 / ノックインマウス / アイソフォーム特異的 |
Research Abstract |
ヒトアポリポプロテインE(apoE)の遺伝子によりコードされる3種のヒトapoEアイソフォーム中で、ε4対立遺伝子がヒトや動物の脳障害の増悪因子であるとする報告がなされてきた。本年度の研究は、この報告を動物レベルで確かめるため計画・立案した課題であった。即ち、胚性幹細胞を用いた標的遺伝子導入技術(ノックイン法、KI)によりマウスapoEの代わりにヒトapoEアイソフォーム(apoE2、apoE3そしてapoE4)を発現させた遺伝子改変マウスを用いて、急性期虚血脳障害に対するヒトapoEのアイソフォームの違いによる特異的脆弱性を比較した。ホモ接合体apoE2(2/2)、apoE3(3/3)そしてapoE4(4/4)KIマウスにナイロン栓子法を用いて永久局所脳虚血を誘発させた。虚血24時間後の時点(急性期)で、神経学的症状、梗塞領域・体積測定により評価した脳損傷の程度は、4/4KIマウスは2/2あるいは3/3KIマウスに比べ有意に悪化していた(P<0.001、4/4vs.2/2あるいは3/3KIマウス)。そして、2/2と3/3KIマウス間での比較では脳損傷の程度に有意差はなかった。脳内ヒトapoE蛋白発現の免疫組織化学的検討において、3系統のKIマウス間の比較では類似した染色分布が観察された。免疫染色活性に関しても各KIマウス間で有意差はなかった。興味深いことに、虚血負荷した3系統全てのKIマウスにおいて、ヒトapoE蛋白の発現増加が虚血辺縁領域の神経細胞と星状膠細胞に認められた。さらに、このヒトapoE蛋白の発現は、梗塞領域と梗塞辺縁領域の境界部にも点状反応痕として認められた。以上、本年度の研究成果を総括すると、遺伝子改変動物においてapoEが急性期脳損傷後の予後にアイソフォーム特異的(apoE4>apoE3=apoE2)に作用している実験的証拠を明らかにした。
|
Research Products
(1 results)